ケルトの文化に触れる日「ケルト市」に行ってきた

「ケルト市」(豊洲シビックセンターホール」

ハロウィン目前の10月30日に、映像やVR講演、物販、展示で構成された「ケルト市」に行って来ました。このケルトですが、ヨーロッパはキリスト教とギリシャ文明によって形成されたと思われがちなのですが、それらの文化が流入する前、独自の形でムラ国家のような形で様々な族がヨーロッパ各地にあり、欧州の古層文化を形成していたのです。

それがケルト。

このケルトは当時、ローマ帝国の侵攻により、ことごとく駆逐されてしまうのですが、島のケルトと言われるアイルランドまではその影響が及ばず、その文化がキリスト教伝来と習合され独自の形で残っていった。それによりケルト=アイルランドというイメージが強く残った訳ですが、けっしてアイルランド=ケルトではないのです。ケルトとはヨーロッパ古層を形成した文化なのです。

ただケルトは文字を持たない文化だったので、幻の民と言われ、ローマのカエサルの戦記から読みといていくしかなく、アイルランドに残ってい古い文化風習からもその様子を伺い知るということになるのだと思います。

ちなみにハロウィン目前と書いたのですが、このハロウィンはケルト由来の行事。ハロウィンはサウィンの変形であり、いわゆるケルト暦では1年の始まりとされます。それはこれから冬を迎えるその入口であり、死者との交流ができる、あるいは、黄泉の国の次元の扉があく日とされています。

ハロウィンの源流はケルトのサウィン、けれど世界中がこんな感じに・・・

冬から春になると生命の息吹が一斉に溢れ、夏にそらは盛りを迎えるという四季折々にみることができる生命循環、サウィンはその始まりとされています。ケルトには死と生の生命循環の思想が根底にあり、シンボリックな渦巻き紋様はそうした感性の象徴と言えるのかと思います。

このケルトの生命循環的な感性は、地球が環境破壊で傷ついている今とても見直していくことが必要なんじゃないかと思います。そもそも日本も同じように、四季の変化と自然を尊ぶ文化に根づいていたはずなので。

ということで、ハロウィンはアメリカに渡ったアイルランド移民が広め今では世界中が仮装するお祭りとなっていくのですが、日本では渋谷のスクランブル交差点で仮装した若者が狂騒する一大イベント日になってしまっている訳です。さて、コロナが落ち着いた今年のスクランブル交差点はいかに?。

同じくケルト暦では2月1日は「インボルク」、春の始まり。 それとともに聖ブリジットの日で、ケルトとキリスト教が習合したとも言われています。写真は、聖ブリジッド・クロス

で、ケルト市ですが、一番の目的はアイルランド公認ガイドの山下直子さん(←クリックすると山下さんのブログへ)の「ケルズの書」に関するお話。アイルランド在住の山下さんとは直接お会いしたことがないのですが、風の時代を反映してか縁あってZOOMで会話をしたことがある程度。しかし、私は直子節とでも言いたくなるような山下さんの会話術がとても素敵だなと思っていて、大画面で彼女の話を聞けたのは嬉しかったです。(オンラインで話ができたみたいなのですが、私は用事があり次の場所へ・・・)

世界で一番美しい本と言われる「ケルズの書」の絵ハガキ、ケルト市で購入しました

このケルト市では。アイルランドのアニメ映画「ブレダンとケルズの秘密」が上映されたとのですが、この作品が世界で一番美しい本と言われている「ケルズの書」の誕生をベースにしており、その独特の感性が素晴らしく、そしてちょっと泣ける私の好きな映画の一つなんです。

「ブレダンとケルズの秘密」はとても素敵な映画ですよ

その映画の上映前に山下直子さんが、「ケルズの書」の解説をオンラインでしてくれたのです。山下さんはアイルランドのガイド本も出しており、この本が素敵に紹介しているので、読んでいるとそれを片手にいつかアイルランドに行ってみたいと思いつつ。

山下直子さんのアイルランドガイド本、彼女のアイルランド愛が詰まっているような内容で、おすすめです!

 

その他にもミュージシャンの映像やアイルランド出身の文学者の紹介コーナーなども。吸血鬼伝説に凝るきっかけになったドラキュラを書いたブラム・ストーカーも、そしてオペラはもちろんのこと、演劇や映画、そして美術に多大な影響を与えたサロメ、私もサロメに凝っていた時期がありました。その文学史に残る戯曲サロメを書いたオスカー・ワイルド、日本に移住しまるでアイルランドの妖精譚のごとく怪談話を書いた小泉八雲ことラフカディオ・ハーンもアイルランド人、かの国は多彩な才能を出しているんですね。物販もいろいろありアイルランドの老舗店舗の紅茶を購入したので、ちょいと楽しみです。

そうそうたるメンバーのアイルランド関連の文学者たち

ところで、「ケルト市」とは関係ないのですが、現在、51コラボでは「聖なる次元へ~様々な死生観を巡って~」というオンライン企画を開催中。元・読売新聞大阪支社の記者・武部好伸さん(←クリックすると武部さんにインタビューした映像ページへ)が「ケルトの死生観」について話していただいています。下記はその武部さんの映像からの一部抜粋と全体像が分かる映像です。

画像をクリックすると「聖なる次元へ」のページへ

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