臓器が生まれる・・・「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」

映画「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」(2022年)
■監督:デヴィッド・クローネンバーグ
■出演:ヴィゴ・モーテンセン、レア・セドゥ、クリステン・スチュワート、他
これまで様々な身体変容を描いてきてボディ・ホラーと呼ばれるデヴィッド・クローネンバーグの映画。彼の2022年の作品「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」は、近未来の人間の身体の変容を描いていて、何とも言えない気分になる。クローネンバーグは1943年生まれというから80歳を超えている。まさに最強の変態おじいさんだ。
「クライムズ・オブ・ザ・フューチャー」の異様さを列挙すると
プラスチックのごみ箱をバリバリと食べる少年
人間は身体の痛みとウィルス感染がなくなり克服した
体の中に新しい臓器ができる特異体質の人間
それをアートと呼び取り出す手術をパフォーマンスで見せる
手術は新しいセックスになった
耳が全身に生えた男
新しい臓器ができたら臓器登録所にいかねばならない
プラスチックなど有害な化学物質を消化できる器官をつけた人間
こうならべるだけで、ギョっとすることばかり。クローネンバーグ監督は、よっぽど身体性ということにとりつかれているんだなと思う。
人間はプラスチックという便利なものを発明し、環境をことごとく汚染、破壊してきた。プラスチックが微細化されたマイクロチップは、今や現代人の血中を流れているとも言われている。クローネンバーグの映画はそうした化学物質の害に対して、人の臓器は進化し、食用にしてしまうという可能性をほめのかす近未来の絵をしめして見せた。これ?最強、変態おじいさんの結論なのか?