本物の私とコピーの私、映画「アイランド」

映画「アイランド」
■監督:マイケル・ベイ
■出演:ユアン・マクレガー、スカーレット・ヨハンソン、他
マイケル・ベイ監督の「アイランド」は、近未来SF映画。20年も前なんだけど、このころから、すさまじく映像表現技術や編集技術が進歩したんだろうな。今見ても、画面は古さを感じさせないから。私は今から30年ほど前にCG関連の会社に務めていたけど、私はクリエイターではないので傍で見ていたけど、恐竜一体作るのに相当大変そうだったから。CGの会社に務めてた経験あるけど、私自身はアナログ人間なんですけどね。
主演はユアン・マクレガーとスカーレット・ヨハンソン。クローン技術という倫理的テーマが流れています。
物語は汚染された地球から隔離された清潔で管理された施設。そこに暮らす人々は、自分たちを生き残った者だと信じ、「アイランド」という楽園へ移住できる日を夢見ている。しかし実際は、彼らは外の世界の富裕層が臓器移植や出産代行のために造り出したクローン人間であり、アイランド行きは死の暗号だった。
虫を捕まえたことから、どうもおかしいと真実に気づいたリンカーンとジョーダンは施設を脱出し、自分たちのオリジナルと出会ったりもする。当然、オリジナルは大富豪ってわけだ。
映画前半のクローン達が生活する空間は白とガラスで構成され無機質で、徹底した秩序と監視が隅々まで行き渡っている。それはスタイリッシュなセンスで描かれ、おおっと思いました。かれたクローンは記憶まで埋め込まれるが、実際の現実社会のルールなどは教育されていないので、まったくわからない。管理が以上だなと思ったのは、彼らがクローンだからということなんだな。
残念なのは物語が後半に進むと、アクション映画へと変わる。カーチェイス、バイクでの逃走、警察との銃撃戦など圧倒的なんだけど、当初の私は一体、誰なんだ?という問いが薄れてしまっている。映像的には引き込まれていくけど、問題の問いかけについて深堀されず、よくあるSF映画・・・に終わっているような印象です。後半を逃走劇ではなく、私とは一体何者?という存在を問うような展開になっていれば、もっとすごい作品になったろうなと思うのでした。
それだけ見たものの足元を揺るがすような根源的なテーマ性を抱えた映画だけに、残念です。

