老境を迎えて我想う「野いちご」

映画「野いちご」(1957年)

■製作:1957年
■監督:イングマール・ベルイマン
■出演:ヴィクトル・シェストレム、ビビ・アンデショーン、イングリッド・チューリン、他

イングマール・ベルイマンの「野いちご」は、老医師イサク・ボルイが名誉博士号授与式へ向かう旅の途中で、自身の人生を振り返る物語。私も還暦をとうに過ぎてしまい、人生を振り返ることが若い時に比べて多々あるように思います。人はやっぱり老いを迎えて、自分の人生を見つめるのですね。

ロードムービーの形式をとりながら、そこで出会ったことをきっかけに、心の風景を描いた作品であり、夢・記憶・現実が交錯します。このあたりがうまいなって思います。孤独でいいんだといいながらも、エゴイストと言われながらも、老いによってこれまで過ごしてきた数々の、さりげない罪の意識、赦しの意識が、ほんわかと浮かび上がります。

とりわけ冒頭の夢の部分は、ヒッチコックの「白い恐怖」を思い起こさせるような映像になっていて、針がない時間を失った時計は本人の孤独を愛するのだという意識と裏腹なことを描いているように感じます。あるいは、自分が育った家に赴き、当時のことが浮かび上がり、若き日の彼、彼女たちを眺めているシーンも同様に感じさせます。それらは、いろいろあって偏屈なじいさんになってしまったけど、これでいいんだという自分の過去との和解であるように見えます。それを演じた老人の演技もよかったです。

「野いちご」は、私の年齢がゆえにかもしれませんが、過ぎ去った時間、その甘さと痛みを同時に抱きしめるような映画にも感じました。私はどうしてもエゴの執着からのがれられないので、この映画に出てくるような、じいさんに私もなれたらいいなと思います・・・。

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