新しい描き方で人種差別を描く「ゲット・アウト」

映画「ゲット・アウト」(2017年)

■監督:ジョーダン・ピール
■出演:ダニエル・カルーヤ、アリソン・ウィリアムズ、他

映画「ゲット・アウト」は、ホラーでありSFというジャンルを借りながら、人種差別を想起させる作品であり、人種差別を扱いながらホラー、SFテイストに仕上げている異色な映画です。監督と脚本も書いているのは黒人のジョーダン・ピールというのもこれまでにない視点に立った映画と言えそうだ。この独特の映画は、低予算で作りながらも世界的評価も獲得したという。、

物語は、黒人青年クリスが白人の恋人の実家を訪ね結婚の話に行くという設定から始まります。恋人の女性は親は黒人差別に理解がある、リベラルな姿勢であるといいながら、どこか違和感を感じさせる。その家族と近隣住民の一挙手一投足が、不穏な感じをさせる。なにかおかしい。どこか不自然だ。この視線こそが、常に差別化使いされてきた黒人にとっては、居心地が悪く、抱く警戒心が過剰反応ではなく、彼らにとっては合理的な感覚として描かれているのは、黒人監督だから表現できたことかもしれません。そしてこうした表現が逆に映画を見てるものにとっても異様な感にさせ、じわじわと恐怖心を感じさせるように描かれているのが巧みだと思いました。

しかし、それは序章に過ぎず、彼らは黒人の持つ若々しさ、身体能力、性的魅力などに憧れをもつ異常な集団だったのです。白人が自分たちの老いや限界を補うために、黒人の肉体を資源として、自らの脳を移植しようとするのです。だから同胞である他の黒人が異様でもあったのです。彼らは黒人の肉体を道具として利用し奪うための狂人とでもいう集団だったのです。

白人の彼女も、恋愛感情があったわけではなく、入れ物としての肉体が欲しいから近寄っただけという愕然とさせる構図になっています。彼らはリベラルな姿勢をしていても、実は、黒人を人ではなく、入れ物としての道具としてしか見ていないというおぞましさ。脳移植をしてまでという現実にはありえないような話だが、ホラー、SFという形を借りた新しい告発映画になっている。

主人公の黒人が生き残ってよかったという終わり方なんだけど、どこか晴れない、もやもやした感覚がのこるのも、実は監督の目指した勝利と言えそうだとも感じたのでした。

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