自由を求める熱い男の震える映画「ブレイブハート」

映画「ブレイブハート」(1995年)
■監督:メル・ギブソン
■出演:メル・ギブソン、ソフィー・マルソー、パトリック・マクグーハ、他
映画「ブレイブハート」は、漢の魂を震わせ、揺さぶりをかける熱い映画。メル・ギブソン演じるウィリアム・ウォレスは、スコットランドの自由を守るためにイングランドと戦った男。歴史的人物です。しかしこの映画が、面白いのは、人間が自由を奪われた瞬間、何を取り戻そうとするのか?という、極めて普遍的な問いを映画的視点から、歴史の行間に埋もれてしまった剥き出しの感情を、メル・ギブソンが真正面から描いたことにあるでしょう。
実際、「ブレイブハート」は時代考証、脚色、英雄像化など、歴史的事実とはすこし乖離しているとも言われている。そもそもウィリアム・ウォレスなる人物は聞いたことがない。しかし、スコットランドでは、独立と自由のために戦った愛国者として有名なのだどうだが、当のイギリス史では農民反乱のボスであり、捕まって処刑されたということぐらいらしいのです。世界的にみればローカルなヒーロー。所変われば、立場変われば、その扱いも全然違うということですね。
しかし、映画を監督し自らの主演を務めたメル・ギブソンは、この歴史に埋もれてしまうような話を、自由を求めて抑圧に立ち向かう一人の男の勇気を前面に押し出し、最後には映画を観るものに、魂を揺さぶられてしまうような作品にしたことが、アカデミー賞はじめ多くの賞を受賞し、場所や時を超えて愛される映画になったと言えます。さらにこの映画はCGではない数多くのエキストラが参加し、泥まみれに戦闘シーンを撮っているのも肉体を感じさせているのも魅力の一つです。私も「ブレイブハート」を観て、大きな感動を得ました。
そしてなんといっても感動的なのがラストのウィリアム・ウォレスの処刑シーン。彼はイングランドに捕らえられ、処刑されてしまうのですが、死の恐怖に打ち勝ちながら、命乞いをせず、Freedom!と叫んで絶命します。肉体は、破壊されても、心までは奪えない。この男の精神の気高さに、言葉を超えた感動を覚えるのです。実際のウィリアム・ウォレスは、映画以上の残忍な処刑をされています。調べると、残酷すぎますが、馬に繋がれ、ロンドンの市中引き回し、生きたまま内臓を取り出され、本人の目の前で焼かれ、最後に首をはねられ、遺体は4つに切断されたといいます。あまりに酷い処刑。昔はえげつないです。メル・ギブソンが映画化することで、ウィリアム・ウォレスの魂は救われたといいたくなります。
このようなこと言うなんて、「ブレイブハート」という映画の持つ熱量、ヒーローの映画にすっかり酔いしれたということになりますね。
映画で使われた着ているキルトや戦う際の青いケルト的化粧も、実際は時代考証手k時には誤っているといいいます。キルトが用いられるのは歴史的にはもっと後のこと。しかし、映画ではそのキルトを、まくりあげて気に対して尻を見せて、侮辱・挑発するシーンがありますが、象徴的行為として映画的真実と言えます。さらに青いペインティングも古代ケルトの風習でありキリスト教に吸収されて消えていったことを考えれば、映画的にはありと言えます。
なにかとお騒がせなメル・ギブソンですが、映画史に残るような、こんな魂を震わせる映画を作っていたんですね。


