ボーイッシュな禁断の「サロメ」

映画「サロメ」(1987年)
■監督:ケン・ラッセル
■出演:イモージェン・ミラリス・スコット、ストラットフォード・ジョンズ、他
「サロメ」は、ユダヤの王ヘロデは義理の娘サロメに心を奪われ、彼女に舞を踊らせる。サロメはその褒美として、牢に囚われている預言者ヨカナーンの首を求めるというオスカー・ワイルドの戯曲、さらにその挿絵を描いたビアズリーの絵がどこにもないような耽美的で挑発的な表現で、私はひきつけられる作品です。この「サロメ」はオペラ化もされており舞台も見に行ったことがあります。
その「サロメ」をケン・ラッセルが映画化したもの。ラッセルはサロメを描いたオスカー・ワイルドを娼館に招き、そこで上演するという形式で描いた。舞台で上演されているものを映像で見るという劇中劇の形だ。ヘロデ王は娼館の主人、サロメはメイドが演じ、舞台と映像の境界があいまいな形になり、当のワイルドも横に美少年をはべらせ、舞台そっちのけでちちくりあっている。
サロメは、妖艶に描かれがちなんだけども、ラッセルは少年と見まがうようなボーイッシュな存在に描いた。むしろヨカナーンの首を要求する欲望の異常性を持った女性なので、それを際立たせるために、意図的にそうしたのかもしれない。舞台は衣装や装置、照明などを誇張し、まがまがしさをだしている。
ヨカナーンの首をねだるきっかけになったサロメの舞。パッと衣装を脱ぐが、ぼかしが入っていて、確かなところがわからないが、流れて的に男だった、という表現なのかもわからない。ラッセルは、全体的に、退廃と欲望が絡み合う禁断の話を描いているも、私にはどうもしっくりこない感じがしました。 個人的には、ストラットフォード・ジョンズ 演じるヘロデ王はよかったが、消化不十分な感じがしたのは、サロメ演じるイモージェン・ミラリスに引き込まれる感じがしなかったからかもしれません。

