性と聖、二重性を描いた「クライム・オブ・パッション」

映画「クライム・オブ・パッション」(1984年)
■監督:ケン・ラッセル
■出演:キャサリーン・ターナー、アンソニー・パーキンス、他
ケン・ラッセル監督がキャサリン・ターナーを主演に迎え、昼はキャリアウーマン、夜は娼婦に変身するという、性をテーマにした作品。この映画はコメディの要素が強い作品で、あの名女優であるキャサリン・ターナーがよくこの役を演じたなという印象。
キャサリン・ターナー演じる女性は夜になるとチャイナ・ブルーと名乗り、過激な娼婦になる。この映画を見て思い脱したのが、1997年に起こった東電OL殺人事件。慶応卒で東電に勤務する女性が夜になると路上で客を取って売春し、彼女が渋谷・円山町の古いアパートで殺害されたという事件だ。私は事件についていきさつも、動機など詳しいことは全く分かりませんが、管理職まで経験していたというキャリア女性がなぜ、ストリートの売春をしていたのか?
映画でも昼間は誰よりも仕事をこなすという女性が、夜になると変身しストリートにでるというところが、重なってくるものがあるように思うえたのです。ケン・ラッセルがこの映画を製作したのが1984年なので、事件よりも13年前に映画が作られている。はやかったのか?映画のテイストと事件は全くちがうのだけど。
ケン・ラッセルのチャイナ・ブルーは、けばけばしい衣装やウィグよる仮面に力によって大胆になり、男のファンタジーと欲望に答える夜の女神になります。それにより昼間の社会的抑圧から自己を解放してやり、自身の体を使って、ある意味の自由を得ていたのかもしれません。でもそれはやっぱり、両極端すぎる気もしますが、ひとつの女性像の姿といっていいのだと思います。
映画はチャイナ・ブルーとの対比のように、神父の姿で夜の街の性風俗に出入りし、神の導くで、救ってやると言いながら欲望に身をまかせる男がいる。この男も女と同様に何かに憑かれているのだ。この男を「サイコ」のアンソニー・パーキンスが演じている。性と聖なんだけど、人間はいろいろあるからこそ、面白いのだ。

