階級差を超えて愛に生きる「チャタレー夫人の恋人」

「チャタレー夫人の恋人」(1993年)
■監督ケン・ラッセル
■出演ジョエリー・リチャードソン、ショーン・ビーン、他
「チャタレー夫人の恋人」は1928年に発表されたD.H.ロレンスの小説だベースとなっていますが、この小説は発表当時、英国社会における身分制度を大胆に扱った猥褻文書と見なされ、内外で激しい論議の的となり、日本においても「チャタレー事件」として、伊藤整による翻訳本の出版に関してわいせつ物頒布罪が問われ有罪となったことでも有名な作品です。
この「チャタレー夫人の恋人」ですが、何度か映像化されており、イギリスの異端児ケン・ラッセルがドラマ化しており、それを日本では映画公開されています。私は原作を読んだことがないのですが、あのケン・ラッセルが・・・ということでその映像を見てみました。
貴族階級の婦人と使用人との身分を超えた恋愛を描き、当時の道徳観や階級意識を根本から揺るがす内容であったため、イギリスでは長く発禁処分となり、1960年になって、ようやく完全版が公開されるに至ったといいます。
異端児ケン・ラッセル監督による映像化となれば、中身は過激なのかなと思ってみたら、意外に抑制的なトーンで語られており、ドラマがベースにあるのか、ラッセルのはちゃめささはなく、むしろ階級社会への批判的な姿勢を感じ取りました。
私は、主人公のチャタレー夫人を演じた女優ジョエリー・リチャードソンがとても魅力的に映りました。上流階級の夫が戦傷により下半身不随になったことや、日々の生活の退屈さ、虚しさなどから、森番をしている使用人と肉体関係に陥り、彼を通して階級差の矛盾を感じたり、愛することの喜びを感じたりと、自己に目覚めていく様子が描かれており、それが今ではありきたりの話と映ってしまうかもしれませんが、彼女の美しさとともに、とても瑞々しく感じました。
もちろん夫としての苦悩や、半身不随となった苦しみもあると思いますが、それが引き金になっているのか、とことん上流階級の特権を活かした奴として描かれており、そのぶん、身分を捨てて愛に生きようとするチャタレー夫人が輝いて見えたのです。愛の力は階級差というタブーを乗り越えていくのです。私はそうした姿が、とても素敵に見えましたし、ジョエリー・リチャードソンが美しく見えました。(好みなのかな?)
しかし、禁断の恋なので、最初は燃え上がり、さまざまな障壁を乗り越えても一緒になろうとするのですが、すべてを乗り越えて二人の生活が始まってから、どうなっていくのか、人生長いのでそこからが始まりですよね。私も似たようなとはいいませんが、近い経験をしたので、えっ??

