悲しみと不運の「アイアンクロー」

映画「アイアンクロー」(2023年)
■監督:ショーン・ダーキン
■出演:ザック・エフロン、ジェレミー・アレン・ホワイト、ホルト・マッキャラニー、他
昭和プロレスを愛する方なら誰でも知っている鉄の爪・フリッツ・フォン・エリック。私も昭和プロレスが好きな一人なのでエリックと言えば、伝説の人物で顔面クロ―がとにかくすごいインパクトあるレスラーでした。今から50年以上前、子供のころに、鉄の爪ごっこが流行ったものです。アメリカでどこまでプロレスがメジャーなのか、住んだことないのでわからないですが、エリック一家を元にした映画がつくられたなんて、びっくりですね。映画「アイアンクロー」はエリック一家の悲劇を描いているんですが、アメリカでは有名なんでしょうか?
たしかに、映画でも描かれていますが、1984年、息子のデビッド・フォン・エリックが、日本に来日中ホテルで急死したことは知っています。またケリー・フォン・エリックが、当時の権威あるベルトとして知られたNWA世界チャンピオンになったことものの交通事故を起こし、その後、自殺したということも聞いたことがあります。
エリック一家は呪われた家族として、当時も言われていたように思います。エリックの息子たちは映画では5兄弟として描かれていますが、ただしくは6人いて、そのうち長男は幼い時に死亡、三男のデビットンも死亡、四男のケリー、五男のマイク、六男のクリスはともに自殺と、男系家族で5人もの子供たちが幼少期、もしくは、若くして自殺など亡くなっているのは悲劇としか言いようがありません。結局残っているのは次男のケビン一人。確かに、呪われたというような形容がついてもおかしくないような・・・・・。ただ、呪われたといっても、何に呪われているのか知りませんが・・・・・。
映画では、チャンピオンを出すのだと、エリックの父性の強さをだし、家族愛の強さも強調していたように感じましたが、果たして実際のところは?父の夢を生きる息子、家の名誉のために生きる個人といった構造です。そして残ったのは、父の在り方に苦しんだケビンが残った。
フリッツ・フォン・エリックは、アイアンクローで観客をくぎ付けにした偉大なレスラーです。彼の握力は一体どのくらいあるんだ?Youtubeでも、彼のファイト映像が流れているので、どんだけすごかったか、わかろうというもの。家族の多くをなくしてしまったのは、とても不幸なこと。悲しみと不運に陥った晩年のエリック自身は、どうだったんだろうか?

