彼女と僕の距離は0.01ミリ「恋する惑星」

映画「恋する惑星」(1994年)

■監督:ウォン・カーウァイ
■出演:トニー・レオン、ブリジット・リン、フェイ・ウォン、金城武、他

ウォン・カーウァイが90年代香港に刻んだ、エモーショナルな恋バナ。この「恋する惑星」はセンスがず抜けていいということに、びっくり、感性が一気にもっていかれました。30年も前の映画であるというのに古さを感じさません。

強いてそれを感じさせるところは固定電話です。昔は携帯電話などなかったから、男の子から女の子への電話は固定電話を使うしかなかったことを思い出させます。還暦もすぎている私の世代ではそれこそ、長電話をするなと怒られた経験を持つ人がほとんどではないでしょうか?あとはもう今見ても新鮮でおしゃれと感じ、感性を刺激されるのでした。

映画は香港の雑多な街角で二組の男女が微妙に交錯し、それを絶妙な心象風景としてカメラは自在に映し出します。音楽のセンスも抜群ですべてが独特で感性は研ぎ澄まされている。「夢のカリフォルニア」がこんな風に使われるなんて!こんなセンスのいい映画が当時、香港で作られていたということが衝撃。正直、私の知る香港映画はカンフー映画か香港ノワールと呼ばれるギャング映画しかありませんでしたから。しかしこの「恋する惑星」はそれらと一線を画した映画であり、そのセンスを真似しようと思っても容易に真似できないレベルの高さ。

注目は金城武の存在。多国言語を使いこなすイケメンは当時、まだ知られておらず、この映画がブレイクのきっかけということらしい。しかし、私が気になったのは、その、金城と共演した麻薬の密輸に失敗する?ブリジット・リン演じる、金髪でサングラスをかけた女性。最後までサングラスを外すことはなく、彼女の顔をみることはありませんでした。こういったさりげないのがいいんですね。

まあ、そんなことはどうでもいい気がするのですが、私は、「その時、彼女と僕の距離は0.01ミリ。その57時間後、僕は彼女に恋をする」なんていうモノローグが入ったりするのですが、なんて粋な台詞なんだろうと。こんな風に語れるような恋をこれからの人生、一度でいいからしてみたかったなあと思うのでした。ただ、現実は厳しいですけどね。

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