乾いたジャズの響きが・・・「死刑台のエレベーター」

映画「死刑台のエレベーター」(1957年)

■監督:ルイ・マル
■出演:モーリス・ロネ、ジャンヌ・モロー、他

なんといっても全編に流れるマイルス・デイビスのジャズだ。すごいのは偶然パリに来ていたマイルス・デイビスは、当時無名だったルイ・マルの申し出を受け、撮影直後のフィルムを見ながら、即興で演奏。なんと一晩で10曲のテーマ音楽を生みだした。

マイルスの音楽はパリの孤独と焦燥感を出すにピッタリで、ジャンヌ・モロー演じる人妻が、夫殺しを恋人のジュリアンと共に計画したも、待ち合わせのカフェに表れず、焦りパリの街をさ迷い歩く。そこにマイルス・デイビスの音楽が流れるのだ。

このときジャンヌ・モローはメイクもしないで、さらに照明も彼女にあてられず、粒子が粗いと敬遠されていた新しい高感度フィルムで撮影されたという。哀愁漂うトランペットを奏でたマイルス・デイビスも歌手のジュリエット・グレコに一目惚れしたが、その思いは届かず、結果、アンニュイな音楽になったとも言われている。

完全犯罪を狙った計画がエレベーターに閉じ込められ、殺人を計画した男女の思わぬ方向に進んだサスペンス映画「死刑台のエレベーター」。お互いを励まし合う男女の電話の会話で始まった映画は、劇中全く会うことができず、事件の証拠となってしまう小型カメラにおさめられていた写真の中でしか出逢うことができなかった。

25歳、ルイ・マルの才能が煌めく奇跡のような作品。

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