ケルト神話を覗いてみたら・・・

「ケルトの神話」井村君江(ちくま文庫)他

ケルト神話となると、私にはあまり馴染みがありません。それは体系的に整っていないことから、本を読んでいくことにおいて、ややこしいなと感じることがあるからもしれません。何度かケルト神話ってどんなんだとうと興味を持ち、気づくと何冊かのわかりやすそうな本が手元にありました。わかりやすいのですが、なかなか完読できず、とはいいながらも、それらをベースに自分なりにまとめてみました。ただ、大きな見当違いをしているかもしれません(笑)

ケルト文化はヨーロッパ文明の基礎とか、ヨーロッパのルーツという見方がされるものの、ローマの支配によりその文化は滅んでしまいます。基本、文字を使わず文書を残さなかったケルトの神話を見る場合は、大陸に広がったケルトはそうした歴史をへたものの、島のケルトと呼ばれる場所では、それがかろうじて残されて行った。

なのでケルト神話に関して語られる場合は、アイルランドやウェールズの伝承を見ていくことになるのですが、吟遊詩人、吟唱詩人らが口頭で世代を越えて伝え、キリスト教の修道士が書き残していったものなのだそうです。それら口頭で伝承された神々はキリスト教から見れば異教の神々であるわけですが、完全否定をしないでキリスト教教義に結びつけていったそうです。

ドルイドとキリストを重ね、アダムをケルトの祖先とし、ノアの娘を洪水40日前にアイルランドに上陸した最初の女性とすることで、「創世記」とアイルランドに入島した種族を結びつけた(大胆にも)。それによって土着の信仰は邪教として抹殺されることが逃れ、他の国と比べていきいきと息づいているのだと。

そのアイルランドにはいくつかの異民族の来襲がありそれらの神話が残っている。キリスト教以前の土着の信仰はダーナ神族とその末裔たち。やがて、彼らは上記のように目には見えない存在となり、妖精に姿を変えて常世の国に住んでいると言われるようになる。それら常世の国は丘の下や巨石の遺跡群の下や海の彼方だったりする。

ウェールズの神話的伝承は異界との交流をもつ王族の話、「マビノギオン」という英雄サーガがあり、有名なアーサー王伝説はそうした影響を受けていると言われています。

「ケルトの神話」において井村君江氏は、『ドゥルイドの信仰は、太陽崇拝であり、自然は霊的な力を持つという汎神論的な考え方です。自然すなわち太陽や星など天体の軌道の運行や、四季の移り変わり、そうした悠久の円環の動きを崇拝して、すべての霊、人間の魂は、この軌道と同じくまわると信じたのです。そして自然の草木や動物や人間を貫いて、しかも森羅万象に生命と活動を与える遍在的な霊が存在すると信じ、その霊が不滅であり、永遠に活動を続けると考えていたのです。その大霊は永劫にめぐり動いて、生命を転生させてゆくと考えれば、死というものは終わりではなく、もう一つの生への入り口となり、他の生へ行くまでの休息期間となります。』とあるように、ケルト人は目に見えない世界や目に見えない妖精(ダーナ神族)の存在を信じていたということ。(『』部分、「ケルトの神話」井村君枝(ちくま文庫)から引用)

このような思想はケルト神話に貫いており、その要素は、変身や死と再生、円環、循環といった魅力により時代を経て映画やゲームのクリエイターのネタになり、形を変えながら、現代の様々な局面において私たちの記憶に残り、別の要素を含みながら息づいているのかもしれませんね。

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