終わりのない変化?ケルトの感性

「図説 ケルトの歴史 文化・美術・神話を読む」(著:鶴岡真弓・松村一男)

ケルト文化に興味を持ち始めています。ケルト=アイルランドのイメージが強かったんですが、実はヨーロッパ大陸全般に渡り広がっていたことをケルトを研究している武部好伸さんから、お聞きしたことにより認識を新たにしました。

以前、フランスのレンヌ・ル・シャトーに行った時に、ボートのような形をした石の遺物があったのですが、現地の人からケルト時代の遺物と聞き、それが私の頭では繋がらなかったのですが、ヨーロッパの古層をケルト文化が覆っていたことがわかり合点がいったのでした。

あるいは、同じフランスでその近くの泉が湧く森の中で「イシスの椅子」と呼ばれる同じく石でできた椅子の形をした遺物があり、そこに座って瞑想したのですが、いつもとはかなり違った体感を得て忘れがたい経験をしたのですが、それもケルトの遺物なんだなと思い返し、あの時以来から、ちょっとずつケルトというものに惹かれる要素というか感覚が芽生えていたのかもしれません。

なので、ケリトの大まかな全体像を知るには絵や写真が多くイメージがしやすい、この本がいいなと。

ケルト文化は大陸のケruト、島のケルトと大きく2つに別れており、多くの人がケルトと聞くとイメージするのは島のケルトのほうであるということ。それはケルト文化が大陸から島に伝播し、その後にローマ帝国の支配がブリテンにきたもののアイルランドまでは及ばず、ケルト文化とキリスト教文化が融合し、そのままうまく熟成されたという流れがそこにあったということでl色濃く残されたといいます。そしてアイルランドがケルトを打ち出すことで、イコールのイメージも強くなった。

紀元前3000年ごろ、島ではストーンヘンジやニューグレンジという先ケルトともいえる巨石文化が栄え、そこにインド=ヨーロッパ語族が定住し、紀元前500年頃からオーストリアあたりにケルト文化が芽生え始めそれはヨーロッパに広がります(ハッシュタルト文化)。なんとケルト人は紀元前387年はローマを占領しているのでした。(40年以上前の大学受験時、私は日本史を選び世界史はほとんど眼中になかったので、西洋の歴史にはかなり疎いまま今日まできてしまいました)

ここでケルトとは人種をさすものではなく、ケルト語を話す文化集団の意味であり、言語、神話、美術などから再建されるヨーロッパの一文化を指す概念を意味しています。このケルト文化は滅んでしまい、ヨーロッパの文化はギリシャ(ヘレニズム)とユダヤ・キリスト教(ヘブライズム)の世界観により完成したということになっているのですが、そこには以前よりあったケルト文化も影響を与えているということ。

この本を読むと見えてくるのは、渦巻模様や装飾模様に代表されるように、物事は終わりのない変化をし続けるというケルト的な感性が、どこか日本の感性に似ている部分があるということに気づくのです。それがケルトの魅力なのかもしれません。

「ケルト、癒しと再生の森」(←クリック)

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