ビバ、フェリーニ! 不気味な少女と自己崩壊した二枚目俳優
映画「世にも怪奇な物語・悪魔の首飾り」(1968年)
■製作年:1968年
■監督:フェデリコ・フェリーニ
■出演:テレンス・スタンプ、他
エドーガー・アラン・ポーの短編小説を扱ったオムニバス映画「世にも怪奇な物語」の第三話をフェデリコ・フェリーニが監督した「悪魔の首飾り」があります。他の監督による作品はロジェ・ヴァディムの「黒馬の嘶く館」、ルイ・マルの「影を殺した男」です。フェリーニはポーの原作「悪魔に首を賭けるな」を映画化しています。
実はこの映画、20代前半の頃、フェリーニの作品とは知らず、テレビで深夜放送に流れていたのを見たことがあります。ボールを持った少女が、あまりに不気味で、とてもゾッとした強い印象が残っています。(純だった?)
この映像の力は何なんだと思いました。後日、それがフェデリコ・フェリーニの映画とわかり、流石フェリーニとなった訳ですが。
今回、あらためて見てみるとその少女の表現は不気味に描いていますが、当時思ったような感覚にはなりませんでした。それよりも主人公(イギリスの映画俳優でイタリアの映画に出演するためにローマにやってきた)が、目にしたであろう心象風景や人間の描きかたが鮮烈で、フェリーニ感が色濃く出ている。そして、既にローマに来たときに自己崩壊しているその男の破滅的な描きかたの方が面白かったのです。演じたテレンス・スタンプは、狂気じみた演技をかなりハッスルしパフォーマンスしてみせた、そんな印象を持ちました。
驚きは神父で映画会社を経営しています、とあったところ。聖職者と興行を主とする経営者を兼ねている。そんな神父さん、イタリアには多いのだろうか?事情はわかりませんが。
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