ビバ、フェリーニ!いつの時代でも変わらぬ魂の物語

映画「道」(1954年)

■制昨年:1954年
■監督:フェデリコ・フェリーニ
■出演:ジュリエッタ・マシーナ、アンソニー・クイン、リチャード・ベイスハート、他

フェデリコ・フェリーニの映画「道」は映画史に残る名作として世界から愛されている作品。各種の映画賞を総なめし、ニーノ・ロータの哀愁あるメロディの曲もヒットした。フェリーニを世界のフェリーニにしたのもこの作品と言える。それほど「道」は映画にとって重要な作品なのです。

「道」と言えばニーノ・ロータの音楽を連想させるほどに、この映画にとって欠かせない存在。ニーノ・ロータの音楽なくしてこの映画の成功はなかったでしょう。映画に使用された音楽が、映画音楽というジャンルで大衆の記憶に残されていく、ある意味で映画にとってはいい時代の作品なのです。映画音楽を集めたアルバムにはこの「道」で使われた音楽は必ずと収録されたのでした。

しかし「道」は音楽のみならず役者の個性が際立って俳優の代表作にもなった映画です。少し頭が弱い純真無垢な魂を持った女性ジェルソミーナを演じたジュリエッタ・マシーナ。粗暴で豪傑、身勝手な野性味たっぷりのザンパノを演じたアンソニー・クイン。いずれも忘れがたい役柄なのです。

この「道」の話は、現代の時代に照らし合わせてみれば、おとぎ話のような世界なのかもしれません。粗暴なザンパノと無垢なジェルソミーナの話は忙しい現代人からすれば二時間もいらない話?もしかしたらちょっとかったるい、あるいは、こんな女性はいないよと人生にどこか擦れた現代人に感じさせる話かもしれません。

「道」はよくできたファンタジーと言えそうです。おとぎ話も昔話もそれは魂の物語であり、「道」も大人の良質な魂の物語なのだと思います。
この映画に登場する人物達は一癖も二癖もあるキャラですが、貧しさゆえにどこかに闇を抱えています。その闇が時に身を滅ぼすきっかけになってしまうのです。

ラストにおけるザンパノがジェルソミーナを置き去りにて、彼女の死を知り浜辺で嗚咽する場面は映画史に残るシーンと言えましょう。それは魂の物語だからこそ、大きな感動を生むのだと思います。情報化社会となった現代においても、魂の物語は不変なのです。

道 Blu-ray

Follow me!