ビバ、フェリーニ!  聖アントニウスの誘惑をパロった巨大女が登場する映画

映画「ボッカチオ’70 ・アントニオ博士の誘惑」(1962年)

■製作年:1962年
■監督:フェデリコ・フェリーニ
■出演:アニタ・エグバーグ、ペッピーノ・デ・フィリッポ、他

フェデリコ・フェリーニも参加したオムニバス映画「ボッカチオ70」、このボッカチオとは猥雑な話を多く含む「デカメロン」の作者であり、そこからきているのかわかりませんが、映画検閲への抗議の意を込めて作られたものということ。そこでフェリーニは「アントニオ博士の誘惑」という作品で参加しています。

これは文字通り、有名なキリスト教の逸話である聖アントニウスの誘惑のパロディ。聖アントニウスとはエジプトの砂漠で悪魔の誘惑と葛藤した聖職者の話で、美術作品でもボッシュやダリなど多くの芸術家が手がけているテーマです。

主人公アントニオは性的な風紀に関して少し以上なくらい厳しく、街で煙たがられている存在。ある日、アントニオの自宅の前に寝そべるながらまるで誘惑しるかのような巨大な広告看板ができる。

アントニオはこれがけしからんと抗議するが、その看板から抜け出した巨大な女性が彼の前に現れる。アントニオは抵抗するのお釈迦様の手のひらではないけど、全く抵抗できない。

アントニオの極度な性的な風紀への抵抗は、無意識におけるそうしたものへの関心の抵抗であり、カトリック批判にも見えてきます。何でもありの現代からすると、こうした話はもはや牧歌的なものになってしまっている感も否めませんが、私はこの位のところで葛藤している社会の方が健全な気がしています。

資本主義の欲望は尽きることがなく、それが進めば進むほど自己矛盾、崩壊をきたしていくように思えてなりません。何でもほどほどがいい、そう思うこの頃です。

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