ビバ、フェリーニ! 圧倒的な造形美と退廃の日々を描いた大作

映画「サテリコン」(1969年)

■製作年:1969年
■監督:フェデリコ・フェリーニ
■出演:マーティン・ポーター、ハイラム・ケラー、マックス・ボーン、他

フェデリコ・フェリーニによる一大幻想巨編のこの映画は、悪名高い暴君ネロの時代のペテロニウスが書いたとされる古代ローマの退廃を描いた「サテリコン」が原作です。美術が素晴らしく、映像一つ一つに見惚れてしまうのですが、内容の方は極めて悪趣味と言えます。古代ローマの退廃を描いるとはいえ、見ようによっては地獄絵図であり、人の欲望が可視化された夢の世界を彷徨しているかのようです。

そして例によってフェリーニの映画は軸となる物語の展開がなく、エピソードの羅列。正直、映画自体が長尺なのでローマの退廃とどこまで付き合わねばならないのか?と思うこともある。

映像や演出は独創的で素晴らしい、他の追随を許さない造形だ。でも、飽食に乱れ、腐敗しきったローマを延々と見ることになるので、ちょっとこの年齢になると辛いものがあります。

この「サテリコン」はフェリーニ作品の中で一番グロテスクであり、一番美術が素晴らしく、一番想像力が飛躍した映画なのだと思う。当時、映画館でこの「サテリコン」を見た観客はどのような印象を持ったのだろう?

舞台は、キリスト教以前の異教の時代ということになるのですが、「サテリコン」を見ていると、キリスト教は社会にもしかしたら、これは勝手な印象ですが、現代に通じる暗黙の社会的な規律のようなものを作った要素があるのではないか?そこに大きな一助を果たしたのかもしれないのは?と映画を見て思ったのでした。

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