ビバ、フェリーニ!あのカリビアが処女作に登場していた!

映画「白い酋長」(1952年)

■製作年:1952年
■監督:フェデリコ・フェリーニ
■出演:レオポルド・トリエステ、ブルネッラ・ボーボ、アルベルト・ソルディ、ジュリエッタ・マシーナ、他

「白い酋長」は事実上のフェデリコ・フェリーニの演出初作品ということになるようです。音楽はニーノ・ロータの名前がクレジットされており、ここから盟友関係は続いたんだなと思わせてくれます。その映画の冒頭、一発でこれはフェリーニの映画と思わせてくれる出だし。

映画は新婚の花嫁がホテルから抜け出し、憧れのスターに会いたくそのまま撮影舞台に紛れ込んで遠く離れた浜辺の現場に行ってしまう。花嫁の姿が消えた新郎は大慌てとなり、親族もホテルに来るということになっており、焦りまくるという話。

ここで花嫁は撮影クルーに紛れ込むわけですが、役者らが思い思いの衣装を着ており、さながらサーカスを連想させるフェリーニらしい想定が見てとれます。

ちなみにこの映画が作られたのは1952年(私の生まれる10年近く前なので、約70年前rの作品となります)、映像の出来はいまと比べるのがそもそもおかしいのですが、なかなかテンポがよく作られています。そしてベースにあるのは「笑」で、絶妙な感覚でその要素が入ってきて、画面をみながら声を出して笑いました。昔子供のころに見たドリフの劇を連想させてくれます。

ところで撮影の場面で、役者がポーズを取り、監督がカット!と掛け声をかけるシーンが何度もありました。最初は古い感じの映画の演出なのかな?と思っていたのですが、そうではなく、当時は、吹き出しの入った写真漫画のような静止画で構成されたフォトロマンス(写真版恋愛小説)と呼ばれたものがあり、それが人気を博していたそうです。それを知り、後からその演出だったんだと納得しました。

驚いたのは、新郎が傷つき疲れ果てたローマの夜、そこに娼婦が現れるのですが、あのジュリエッタ・マシーナでした。そして名前は「カリビア」と語り、ええっと驚きました。のちの名作「カリビアの夜」に通じていく要素が、早くもここに顕現していたのでした。

さて、花嫁が憧れたスターは、実は、口先だけの女たらしで嫁には頭が上がらないダメ男だった。作られたイメージと現実には大きな境目があることを描いており、当時からこのような教訓的なものもあるのだと思ったりしました。

古い作品なので、のんびりまったりと観て味わうことができた秀作でした。

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