行ってみてわかった、ここは特別な場所。恐山

恐山。イタコがいて死者と出会う場所。そんなイメージを持っていました。私は、映画「田園に死す」を見て衝撃を受け、寺山修司という昭和のマルチクリエイターがマイブームだった時があります。
その衝撃を受けた映画「田園に死す」ですが20代に見た時は何も思わなかったのですが、40代も後半にさしかかった時に再びそれを見て、震えるような興奮を得たのでした。以後、私は寺山修司がマイブームとなっていったのです。

恐山はその「田園に死す」の舞台に選ばれており、一度はそこに行ってみたいものだとずっと思っていました。そして寺山修司の生誕何年かの記念イベントが青森であり、それにかこつけて恐山にも、足を伸ばしてみたのです。

恐山は行ってみるとすごい場所でした。バスに乗り山奥を揺られて行くのですが、近づくと硫黄臭がしてきて、突然の異様とも思える風景が広がってきました。●●地獄とか場所、場所に名前がついているのですが、よくこんな山奥にこのような自然が作り出した場所を見つけたものだと驚くしかありませんでした。

不思議なのは湖があり、とても美しかったのですが湖畔の砂がサラサラだったこと。まるで海の砂浜のようだったのです。海なら波が押し寄せては引くのでサラサラの砂ができるのはわかるのですが、山奥の湖のそのようなものができるのでしょうか?地質学的なことが何かあるんでしょうね。

とにかくそんな湖、私はこれまで見たことがありません。それだけで不思議な異空間に包まれたような感じになり、恐山という場所が特別な場所に思えてなりませんでした。

確かに、この場所は自然の造形としても何とも言えないような、独特の景色を見せ、まさに死者が集まるようなイメージを想起させる場所に思えてくるのですが、それ以上に大切な人を亡くした関係者の悲しみの想いを受け入れるだけの土地の力のようなものを感じるのでした。

感覚なので伝えるのが難しいのですが、土地に陰と陽がもしあるとしたら、恐山は間違いなく陰の場所だと思うのですが、陰極まれば陽となるように、限りなく陽の部分を合わせ持った場所と言えばいいのでしょうか。その地に立つと無条件に厳粛な気持ちにさせられるのは、死というテーマがそこにあると同時に、死の横に寄り添うカミもいるからではないかと思えるのでした。日本にこんなすごい場所があるんだとビックリした思い出があります。

Follow me!