延び延びで公開された「ナイル殺人事件」

映画「ナイル殺人事件」(2020年)

コロナ禍において公開が延びに延びた映画「ナイル殺人事件」、監督・主演は名優ケネス・ブラナー。ケネス・ブラナーがアガサ・クリスティーの原作を主演・監督をするのは「オリエント急行殺人事件」に続き2度目。名探偵エルキュール・ポアロを演じます。前作も豪華キャストで面白かったので、今回の「ナイル殺人事件」も期待して公開を待っていました。「ワンダーウーマン」を演じたイスラエル出身の女優ガル・ガドットも楽しみ。

冒頭、いきなり戦闘シーンがでてきました。第一次世界大戦、ベルギーとドイツの攻防の場面、現在、ロシアのウクライナ侵攻が毎日のようにニュースが流れているので、映画とはいえ複雑な気分に。それと、もしかして劇場間違えた?と少し不安にもなりましたが、名探偵ポアロのトレード・マークである髭の原因が、この戦争にあるという設定でした。そしてそれが、最後にいきてくる展開の話となっています。これ、原作にはない設定。

ピラミッド、スフィンクス、アブシンベル神殿、ナイル川・・・ザ・エジプトという感じで、大画面で見るその映像は迫力一杯、もう一度エジプト行ってみたいという気分になるなのですが、一方で映像は煌びやか、かつ、華やか。それはあくまで西洋からの視点の贅沢三昧なエジプトの旅。そこにはエジプト人の事情は描かれていません。西洋が世界を我がもの顔で満喫していた時代とも言えるでしょう。

物語は男女の愛憎を描いているのですが、殺人の動機など少し無理があるなあと思います。むしろそこまで愛を貫くのであれば、わざわざ殺人事件を起こさなくとも愛を育むことができたのではないのか?悲劇なのは大富豪を演じたガル・ガドットを演じたリネット・リッジウェイという人物なのでは・・・と。映画で気になったのは劇中で歌っていたジャズシンガー、もしサントラがあれば欲しいなと思うくらいよかったのです。そのサロメ・オッタボーンという役を演じたのはソフィ―・オコドネーという方、シンガーなのかなと思ったら女優だったのでびっくりしました。

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