チベット聖地巡礼① 専門家も超驚いた濃密なチベット密教美術の壁画

濃密なチベット密教空間が広がる ゴンカルチューデ

2018年11月、私はエネルギー・ワーカーの光一氏とともに、チベットとネパールを旅しました。光一氏はヒカルランド等から書籍を出している人気の講師で、私と同年代の方です。

光一先生(顔出しはNGです)

■3,000mを超える高地に降り立つ

まずは羽田から北京に入り、乗りついで、パンダで有名な成都に行きました。そこで1泊し、いよいよチベット自治区のラサに入ります。ラサに近づくにつれ、岩肌むき出しの山々が飛行機の窓からみることができ、辺境の地に向かっているんだなとワクワクしてきました。

飛行機からチベットの地を臨む

空港に着くと一足先に入っていた旅行会社の担当の方とチベット人の女性ガイドが出迎えてくれました。この時点で標高3,500mの高地にいるので、当然ですがやや空気が薄いような気がしました。高山病対策には、走らず、落ち着いて行動し、とにかく深呼吸と聞いていたので、まずはたっぷり深呼吸をしました。

実際、高山病になるのは高所故に酸素が薄いので、血中酸素濃度が低くなることから起こるので、一番の対策は深く息をして酸素を取り込むことらしいのです。酸素ボンベなどは一時しのぎ、チベット旅行にかなりの実績を持ち、多くの日本人をその地に送り添乗回数も多い担当者によると、深呼吸だけでもだいぶ改善されるといってます。このことは、チベットに実際、行ってみて実感しました。深呼吸は高地ではとても大切です。

ラサ空港

■濃密なる「チベット密教」空間があるゴンカルチューデ

さて、空港についてその近くにあるゴンカルチューデというお寺に向かいました。このゴンカルチューデは、15世紀に創建されたサキャ派の名刹。チベット仏教は、ニンマ派、カギュ派、サキャ派、ゲルク派の4つの宗派に分かれており、その宗派系列のお寺となります。このお寺ですが、チベットで一番最初に行くには濃すぎる場所、それが後からわかりました。

ゴンカルチューデ

その濃すぎる体験とは?このお寺には、一般参拝客は見ることができないイダム堂というお堂があります。このイダム堂こそが、チベット密教の神髄を現した場所。濃厚な空間なのです。

イダム堂へは2階に上がっていくのですが、そこで若い修行僧が一人で読経していました。それを見たとき、ひとりで誰もいない場所で熱心に読経を続けるのは、自分自身を鑑みると、とても難しいことだなと思いました。自分自身との戦いです。なまけものの私には・・・。

その若い僧の方にお寺の中を案内してもらうことになりました。

ゴンカルチューデの若い僧と。

さて、このゴンカルチューデには、上記にも書きましたが一般参拝客は見ることができないイダム堂(イダムとは守護神という意味)があるのですが、そこには絢爛たる貴重なチベット密教の壁画がありました。私自身は詳しい見分けはつかないのですが、案内によるとカーラチャクラ、ヘーヴァジュラといった密教の仏たちが描かれ、一度中に入ると密教世界が万華鏡のように広がります。

その壁画の数々は、正木晃先生、立川武蔵先生という日本を代表する仏教研究の代表的な先生方も、ゴンカルチューデのイダム堂の壁画を見て驚き、これは記録に残すべきと「チベット密教の神秘 快楽の空・智慧の海」(正木晃・立川武蔵/学習研究社)というゴンカルチューデの壁画を紹介した写真がメインの本が出ているほどです。

本には以下のように書かれています。「まさか、こんなところに、こんなハイレヴェルの密教尊像群があったとは。それも、いまだその存在が知られていなかったとは。・・・全容はおろか、その存在自体、ほとんど知られていないという事実がわかった。

さらに、ここにはヤブユムと呼ばれる男性尊格と女性尊格が抱き合った父母仏像がありました。この像こそ無上瑜伽タントラといわれる男性原理と女性原理が統合させるチベット密教の奥義の具現化したもの。写真は禁止なのですが、この時はこのヤブユム像のみ写真OKの許可をいただきました。ラッキー!

ヤブユム像

一通りお寺を回ると、ヤクと呼ばれる牛のような動物(ヤクはチベットの人たちには欠かせない動物)の乳からつくったバター茶を僧侶からふるまっていただきました。環境が厳しく食資源も少ないチベットにとって、バター茶は重要な飲み物なのだそうです。

バター茶

とにかく、チベット初日からいきなり濃いお寺に行きました。エネルギー酔いのような感覚も・・・。

ゴンカルチューデの様子

■変わりゆくチベット

その後、ラサの旧市街のど真ん中にあるシャンバラ・ホテルへと向かいました。ザワザワとした街の中心に建つこのホテルですが、ジョカン寺というチベット仏教の一番重要なお寺のすぐそばであり、一歩外に出ると商店もあるので便利です。

シャンバラ・ホテル

ところで、チベットの中心地ラサですが、市内に入ると意外にも近代化が進んでおりました。中国のチベット侵攻によりその地を制圧し、中国化。いわゆる新市街と言われる漢民族が住んでいる地域には、高層マンションが建っていたのです。これには驚きました。チベットに何度も行っている旅行会社さんに聞くと、年々ラサの街は変化していっているそうです。ラサはいまや100万人都市ということです。

ラサの旧市街

それまでのチベットは<辺境で無味乾燥な土地>という通り一辺倒のイメージを持っていました。しかし実際はそうではないというのに気づかされ、現地に行ってみないとホントにわからないものだなと思いました。

この後、都市ラサを離れた仏教の聖地にも行くのですが、そこはまだ辺境の地としてのチベットを見ることができるのですが、中心地のラサは、年々変化していっているということ、つまりチベットの中国化が進んでいるということなので、まさに今チベットを見ておかないとという気にさせられました。

これは印象からくる想像ですが、5年後に訪れたとしたら、さらに変化したラサの街がそこにあるかもしれません・・・。


51コラボは、2019年11月、チベット&ネパールツアーを企画しました(募集済)

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