お金はあり余るほど持っていても男と女の悩みは尽きないのだ

映画「ボッカチオ’70・前金」 (1962年)

■製作年:1962年
■監督:ルキノ・ビスコンティ
■出演:ロミー・シュナイダー、トーマス・ミリアン、他

ルキノ・ビスコンティの映画が、面白いとつづけて見ていたときがありました。今は同じイタリア映画史に残るフェリーニの作品を見続けています。その二人が 参加しているオムニバス映画があります。

ビスコンティによるこの映画は救いがない感じ。イタリアの没落していく貴族とドイツの大金持ちが政略結婚した夫婦。お互いにお金が欲しい、家柄が欲しいと利害が一致した結婚関係。

そこに夫のコールガールとの遊行が新聞一面に放送され、さあ、どう対処すべきかと、悩んでいるところから映画は始まります。
ビスコンティは本物の貴族出なので、家の装飾の一つ一つに説得力があります。すごい豪邸。女中や飯使いもいる。家の主人は何もしなくても段取りをしてくれる。

夫の裏切りを知った妻はなに食わぬ顔して平気を装うも、実は内心自分の立場を含めてアイデンティティや存在の意味について、根深く悩んでいます。揺れる勝ち気な女性をロミー・シュナイダーが熱演。金利生活はやめて働くと言うものの、庶民の生活を経験したことのないこの裕福な女性は、いろいろ発言しても、そこに信憑性がない。

召使は、夫の情事で揺れる妻の気分で予定がくるいチェッと舌打ちし彼女に電話する。したたかなのは庶民か?お金を人一倍持っていても男と女の悩みは消えないのだ。

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