知で立つ国、イスラエルがすごい!日本も学ぶところ多々あり

『知立国家 イスラエル』 米山伸郎 (文集新書)

この米山伸郎氏の「知立国家 イスラエル」(文春新書)は、並みの自己啓発本よりもよっぽどスリリングで刺激的な本でした。

私は2017末にイスラエルにはじめて行きましたが、そこで感じたのは、底力の強さでした。2,000年に渡る民族離散(ディアスポラ)を経験し、各地で差別と虐待を受け、ホロコーストを経験したユダヤ人。イスラエルという国を得て何がなんでも国を守るという精神が、現地に行き、そこかしこに満ちている気がしたからです。

イスラエルの周囲は敵国であり、生残り、生存をかけて食料は必須です。砂漠の荒地を開拓しキブツという集団的農場で野菜などを育て、完全無農薬で食料自給率99%を実現していること(野菜を食べましたがエネルギーの高いこと!日本の野菜と比べ物にならないくらいです)イスラエルは唯一緑が増えている国!

テルアビブのハイテクセンターなる小さなショールームにも行きましたが、そこでは3Dプリンターで洋服を作る技術や空気から水を作る技術を見ることができ、ビックリさせられました。これらは若者らが開発しベンチャーとして起業している技術なのだと教えられました。

イスラエルは男女問わず徴兵制があります。周囲は敵国に囲まれている訳ですから、生存をかけて国民は軍に従事するという意識が当たり前のようにあるのです。街には銃を下げた女性兵士も見かけました。イスラエルを案内してくれたEさんという女性も、徴兵制で軍に従事したのですか?と聞いたら、もちろんと誇らしげに返事をされました。国を守るという意識が男女ともに高いということを感じた一瞬でした。

このようにイスラエルのパワーを感じたのですが、この「知立国家イスラエル」にはそうした事例や制度を詳しくレポートされており、国の存続、守ることという意識が各ページから伝わってきたのです。

国を守る、国力を強くすること。そのために食料を確保するために砂漠を緑地化するということ。四国程度の広さなので世界に通用する新しい技術を次々に生み出して行く精神。そうした空気が短い滞在時間でもイスラエルから強く感じたのでした。

翻って日本を見ると経済は成熟化し、刹那的な享楽が消費され、幼稚化が進んでいるようにも思われ、イスラエルのような活力が失われているように感じました。かつてジャパン・アズ・ナンバーワンと言われた時代から今の時代は変化したと。さらに今後日本は高齢化社会に突入するわけですから、ますますその活力は減速していくのだと思います。

イスラエルに行き、私は否が応でも日本ということを感じずにはいられませんでした。基本、この本においてもそのようなことが言及されていました。

こんなことが書かれていました。PCに欠かせないあのインテル、実はイスラエルが多大な貢献をしていて、今私たちが使っているPCのCPUのほとんどはイスラエル製なのだそうです。それ以外にもGoogleやFacebook、マイクロソフトなど、イスラエルの技術抜きには語れないと。

この技術イノベーションの秘密はこの本を読んでいくと、移民であり、多様性であり、教育であり、自由な議論であり、アメリカであり、徴兵制であることがわかってきます。それらはみな日本が欠如していることなのではないのか?

そして、様々なイスラエル事情を読むと、日本もフレキシブルかつダイナミックな発想と思考で動いていかないといけないのでは、と考えさせられるとともに、私もイスラエルのベンチャー、パイオニア精神に学ばないといけないと感じさせられました。日本はイスラエルから学ぶべきところ多々あります。

そうした点で自己啓発的な本を読むよりもやる気のスイッチを刺激されたように思いました。いや、ホントにすごいですよ、イスラエル。

※イスラエルの魅力はそれだけではありません、旧約聖書、新約聖書の舞台の場であり、イエス・キリストが活動した場所。黄金の都エルサレムはユダヤ教、キリスト教、イスラム教の3大宗教の聖地であり巡礼者がひっきりなしに訪れています。世界の歴史を感じるうえでもイスラエルは欠かせない場所なのです。そうした歴史の重みのある場所である以外にイノベーションとフロンティア・スピリットにあふれる国ですから、とてもスリリングなのです。

米山伸郎氏とともに
知立国家 イスラエル (文春新書)

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