ずれ、笑いを逆に味方にしたB級アンチ・ヒーローのスネーク・プリスケン

映画「エスケープ・フロム・L.A.」(1996年)

■製作年:1996年
■監督:ジョン・カーペンター
■出演:カート・ラッセル、ピーター・フォンダ、ミシェル・フォーブス、他

エンディングが痺れた。終わりよければ全てよし。それあり?と突っ込みたくんるのど堂々とやったことにより、逆にカッコイイの終わり方だったと感じさせてくれるジョン・カーペンター監督の「エスケープ・フロム・L.A.」。カート・ラッセル演じるスネーク・プリスケンが復活した作品。丁度この映画が作られたのは1996年、つまりカーペンターがこのスネーク・プリスケンというキャラクターを誕生させた映画「ニューヨーク1997」を作った1981年から15年後のことで、奇しくも年代としては「ニューヨーク1997」の1年前となるのです。そして今から26年前の映画になります。設定2013年、映画のように世界はここまで無法地帯にはなっていないけど・・・。

内容は前回の「ニューヨーク1997」 からロサンゼルスに舞台を移しただけで、ほとんど主な展開は同じというもの。強靭な精神力で持って無理矢理に与えられたミッションをスネークが遂行するというもの。近未来を描いたとはいいながら制作された年代の数十年後ということで、ここまでの世界の堕落はないでしょう…という舞台設定なので、カーペンター監督は、あまり年代ということは重要視していないのかも知れません。監督はロックが流れる無法地帯で反権力のアウトローを主人公にした、まるで西部劇のような活劇を描きたかったんでしょうね。年代はとりあえず決めましたって感じかなと。

このスネークという主人公はどこまでも魅力的な存在。伝説のアウトローなのに敵の革命家(チェ・ゲバラにそっくり)の首領に捕まり、なぜかルームランナーをさせられてしまうんです。ルームランナーさせられているヒーローなんて見たことがありません。殺人ゲームも与えられたものがバスケットボールというのも、それをどうみたらいいのか…という風。ところどころにギャグ的要素が入っています。

この映画の見せ場の一つである押し寄せた津波をサーフィンボード(ピーター・フォンダとともに!)で乗り切ってしまうという破天荒な場面があります。舞台となったロサンゼルスは大地震によって切り離された孤島となり、そこが巨大刑務所の無法化した場所となっているという設定。映画の中では余震で震える場面が何度かある。津波にサーフボード乗って平行して走っている車に飛び乗る。こうしたギャグすれすれの部分での展開がユニークで面白い。グライダーにのって乗り込むところも、ええっ?という感じでB級なんだけど洗練された見たな感じで。

独特のカーペンター・タッチといったものがお気に入りのファッションのように私の感性に絡み合ってくるのがわかります。

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