映画「ミッシング」は政治の闇を描いたが、その闇もほんとに闇なのか?そう感じてしまうこの頃

■製作年:1982年
■監督:コスタ=ガブラス
■出演:ジャック・レモン、シシー・スペイセク、メラニー・メイロン、他

コスタ・ガブラスは社会派の映画監督として私は認識しています。この映画「ミッシング」もチリのクーデター時に行方不明になったアメリカ青年を探す父親と嫁の苦悩を描きながら、政治の闇を見事に照射した作品となっています。

1973年チリで社会主義政権を倒した軍事クーデター、そこに裏でアメリカが絡んでいたという、まるで陰謀論を絵で書いたような話です。まだアメリカが強かったころ他国の政治体制にまで関与していたとは、自国の利益を優先するためとはいえ、かなり無謀で傲慢な気がします。

アメリカを手放しで称賛することはできません。このチリの軍事クーデターで相当方が亡くなったといいます。クーデターが起こった日が、9.11。アメリカの同じ日に起こった悲劇に、このクーデターで苦しんだ人々は悲しまなかったとも言われています。

映画を見ていると、ニクソン大統領の写真を飾った映像が度々出てきますが、映画を見ているとニクソンの顔が憎々しい顔に見えてきます。ニクソンをそのように思わせるのがこの映画の狙いでしょうが、素直に物語に引きづられていくと悪の象徴にさえ見えてくる。ただ、気をつけないといけないのは、それが演出や鑑賞後の狙いということと。ある意味の誘導とも言えます。

一体何が歴史の真実なのか?煙のないところに火は立たず。最近の世界の動向をニュースを見ていても、正直何が何だかわけがわからなくなってきます。

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