’78年のジョン・カーペンターの出世作、不気味な「ハロウィン」
映画「ハロウィン」(1978年)
■製作年:1978年
■監督:ジョン・カーペンター
■出演:ドナルド・プレザンス、ジェイミー・リー・カーティス、ナンシー・キーズ、他
レトロスペクティブとしてジョン・カーペンター監督の映画が劇場公開されました。そこでカーペンター監督の1978年の出世作、映画「ハロウィン」を再見。この題名となっている今では仮装の日となっているハロウィン、当時はあまり知られていない行事で、この映画から知られるようになったとも言われています。(元は、ケルトのサウィンが源流にあることはここで何度か書きました)
この映画を始めて見たのは10代の頃、カーペンター作曲のあの緊張感を煽る音楽とマイケル=ブギーマンの無差別な殺人と決定打を与えても立ち上がってくる不死身さに身を震わし緊張しながらドキドキして見ていた記憶があるのみです。その衝撃はとても強いものがあり、その時にジョン・カーペンターという名前は私の心に刻み込まれました。
ただマイケルの不死身さは理不尽なものを感じて(それは「13日の金曜日」のジェイソンも同様でマイケルと同じようにかぶり物をして不死身という)、以後の「ハロウィン」の続編は見ることがありませんでした。
今回カーペンターの映画に触れたこともあり、久しぶりにそのの「ハロウィン」を見たのですが、やはりマイケルの不死身さにはちょっと理解ができかねるところがありました。幼少の時に姉を殺し施設に入院、以後誰とも口をきかずに育ち、施設の脱出に成功。つまりここまでは人間であったのではないのか?
何度も刺されながら、そして銃弾を撃ち込まれても不死身なマイケル。それは最早、人間ではありません。化け物であります。マイケルは元から化け物であったのか、そうでないのか。その辺りの所が不明瞭でありました。
しかし、そうした矛盾を超えて、このカーペンターの出世作はとても面白く仕上がっています。圧倒的な力を持った得体の知れない、そして不気味なマスクを被った異常な人物が、こちらを眺めている。ドキッとして見直すともうそこにはいない・・・。この狙われているという感覚がとてもよく演出されていました。
カーペンター自身による音楽もいい。ホラー映画の上等手段である突然のドキッとさせるような音とともにマイケルが襲う映像。今見ても、ああビックリした~と驚かされてしまいます。この「ハロウィン」という映画は心理的な恐怖を体感する映画を目指したのでしょう。
ある青年はマイケルによって刃物で串刺しにされ、その刃物によって宙に浮いている。その死体を首を傾げながら眺め遣るマイケル、彼の冷血さを表した印象深い場面です。観客はここでコイツ、マジでやばいと思わされてしまうのです。
「ハロウィン」の夜、子供達はテレビに流れているモノクロの映画に夢中になっています。そのタイトルを見て思わずビックリしました「THE THING」(=「遊星よりの物体X」)。これこそはのにちカーペンターが「遊星からの物体X」としてリメイクする元ネタの映画。この「ハロウィン」によってカーペンターはホラー映画の歴史に名を連ねるようになったわけですが、すでにSF映画のジャンルにおいても傑作となる映画の元ネタがすでに映画ですでに使用していたのでありました。