超B級映画の巨匠ジョン・カーペンターの魅力
「ジョン・カーペンター 恐怖の論理」(洋泉社)
映画監督ジョン・カーペンター。ホラー、SF、サスペンス、アクションを中心とした映画のジャンルにおいてカルトな人気を誇っていて、今から10年以上前に新作「ザ・ウォード/監禁病棟」が公開され、それに合わせるかのように、カーペンター・マニア?が中心となって一冊の本が出版されました。それが「ジョン・カーペンター 恐怖の論理」。
今年になり「ジョン・カーペンター・レトロスぺクティブ2022」が開催され「ニューヨーク1997」「ザ・フォッグ」「ゼイリブ」の3作品が公開されたのですが、それを知った時、なんとなく刺激され、結果として3本とも観に行ってしまったのです(笑)そこでこの本を本棚から取り出して、再びパラパラですが読んでみようと・・・。映画館でカーペンターの映画を観た後は、ジャズが流れる古い喫茶店で珈琲を飲みながら本をめくる密やかな愉しみの時間?
本の監修は鷲巣義明という方。ジョン・カーペンター研究家らしい。渡航費を自腹で切って監督にインタビューをしに行っているなど、この本を読んでいるとその方のカーペンター愛が、よくわかります。全作品を紹介し、主要な作品を鷲巣氏自らが解説しています。カーペンターの映画は、私は超B級映画と感じているんですが、「超」が付くだけ人の心をわしづかみにしてしまう不思議な魅力があります。上記の鷲巣氏も「ハロウィン」を見て状況を決意し、映画関係の仕事をするようになったといいます。
私にとってのジョン・カーペンターとは20代始めに何と言っても「遊星からの物体X」を見て度肝を抜かれたことです。驚くような特殊メイク効果と誰も信用できない絶体絶命感でハラハラドキドキさせられて、初期の「ハロウィン」含め、当時大学生だった私にとってカリスマ的存在の映画監督でした。
ただ、その後、社会人となって映画を全く見なくなり、何本かたまにカーペンターの作品をビデオで見たりしたものの、「遊星からの物体X」のようなワクワク感を感じられず、いつしか名前も思い出さないようになりました。今回、レトロスペクティブとして3作品が公開され、カーペンターへの想いにちょっと火がついた感じに・・・。
忘れた頃にやってくる??ジョン・カーペンターという存在。この歳(還暦超)になって、古いカーペンターの作品を見ていると、当時は気がつかなかった発見もあります。そういえば、最近はめっきり名前を聞かなくなったヴェルナー・ヘルツウォーク監督もジョン・カーペンターとともに、やはり私が20代前半の大学生だった頃、他の監督と一線を画して特別視していた映画監督であったなー、と。懐かしい。20代前半の興奮ですな。