「ミリオンダラー・ホテル」奇跡のような映画だった
映画「ミリオンダラー・ホテル」(2000年)
■製作年:2000年
■監督:ヴィム・ヴェンダース
■出演:ジェレミー・デイヴィス、ミラ・ジョヴォヴィッチ、メル・ギブソン、他
ヴィム・ヴェンダースの映画「ミリオンダラーホテル」は、シュールで不思議な作品なんですが、泣けるし、笑えるし、ほのぼのとするし、どのシーンも濃密な計算されているギュッと詰まってるなと感じました。それよりも冒頭は何を意味しているんだろうと思いながらも、話が展開していくとベンダースの人間への愛を感じざる得ないようなエピソードが続きます。
髪型が鉄腕アトムのような知的障害のあるトムトムの演技が、まずは引かれるし、彼の純愛かつ純情が物語の骨子になっているのですが、狂言回しのように引きづられ、誰もが持っているであろう純な部分のコアな所をグッと掴んで来ます。演じるのは大変だったろうなと思います。
展開も面白くサスペンス風な部分もあれば、社会告発的な部分もある。そして最後は恋愛と、ヴェンダースってすごい演出力のある監督だなと思い知らされるのです。始まりの屋上で駆けていくシーンが最後の展開に繋がり、路上に飛び散った血がひとつのハート、魂を想起させるような。
こうやって見てくるとヴェンダースはアメリカを舞台にした映画が多いのに気づきます。それは何なんだろうか?資金的な問題?アメリカへの憧憬?いずれにせよ、視点がよくあるアメリカ映画的じゃないのが、とてもいいんだけど、私にとっては謎は謎なのであります。それがどうしてもわからないです。