タロット、自由自在!

「ユリイカ タロットの世界」(青土社)

「ユリイカ」という様々な文化現象に切り込み月刊誌があります。なかなかハードな本なのですが、昨年、鏡リュウジ責任編集として「タロットの世界」というタイトルの臨時増刊号が出ています。そこには鏡氏の人脈の深さを表していると思える様々な論客が参加しています。それを読んでいると、タロットは<占いのツール>というものを超えたところにあるなと感じます。そこで、今回は印象的だったものを私なりに紹介したいと思います。

■タロットは運命を解放する

まず、気鋭の哲学者として人気で、自身の小説が芥川賞の候補にもなった千葉雅也氏がユニークなタロットに関するテキストを出しています。

千葉氏は「知覚」というものに焦点をあて、タロットカードを1枚引いてでてきた絵柄を見て受ける多少の影響は、まるで広告に似ているというのです。広告はとにかく見せればよい。それが広告の原理であり、意図的にと印象に残るナンセンスな広告を見せることにより、人はどこかに記憶に残り無意識に消費行動をしてしまう。

見てしまった、聞いてしまったという「しまった」という決定性。人間の思考はたえず外からの介入を受けて自分自身の境界をたえず作り直しているため、知覚がたえず私のバランスに揺さぶりをかけている。しかし単に人は物質世界を生きているのではなく、そこに「解釈のヴェール」をかけて(=世界を意味づけながら)生きている。その解釈は複数あると。確かに、私たちはたとえば「ワクチン」というものに対して、実に様々な解釈のヴェールをかけているし、それに関して打つ、打たないの行動を起こしたりしています。

千葉氏は、世界を解釈する仕方は様々であり、一つの解釈だけを選ぶ必然性はないとして、タロットは実に面白いというのです。ひいたタロットの絵柄に対して、私たちは解釈的に自己を再形成する自由がある、解釈するのは自分ゆえに、それは刺激剤であり、スパイスのようなものであり、1枚のカードから記憶や予想を取り集め世界について物語制作を始めていくのだと。

つまり『これまで思い込んでいた固定な自分のあり方から解放してくれるような、新しい自分の姿をあれこれ思い描くことなのだ。占いは運命を決定しない。運命を解放するのである。』

■タロットは22人の優秀な相談役

そしてもう一人、ゲーム作家の米光一成氏がタロットを自在に使っているという話。この話は上記の千葉氏のより実践的にタロットを活用しているという点で実に面白いのです。

ゲームの展開というのは実に様々なアイデアが必要とされる。そんな時、米光氏はひんぱんにカードを引くというのです。ゲームの展開に煮詰まったとき、ひいたカードは順当に考える方向とは違うものを示唆してくると。しかしカードの象徴に導かれた理解不能なイベントが、最終的にはうまく組み込まれていくことになると、そうなると結果として神秘性を感じるというのです。

そうしたことに気づくと、米光氏は、意思決定の場でカードを使って自分で自分に相談する隠者の儀式と彼が名づけている方法をやっているそうで、この発想は実にユニークだなと思ったのです。つまり、ある悩みがあるとすると、たいていは自分の考え方のクセが原因となっている、問題が発生したマインドセットのままでは、問題は解決しないから悩みが生じる。その際、異物(タロット)を乱入させて、異なる考え方の軸を与えることで解決していくというのです。いつもの考え方でやっているので行き詰っていたと気づくと気が楽になるというのです。

これは、ユニークだなと思います。タロットと対話することにより『ひとりでは引き出されない心象(イメージ)・言葉(ワード)・構想(ビジョン)が出てくる』し、『脳内に22人の優秀な相談役がいるイメージ』で『タロットを使っていると、結果として神秘としか思えないような出来事が起こる』というのです。当代一流のゲーム作家はタロット、22枚ある大アルカナと呼ばれるカードを自在に使っているということに、改めて驚いたのでした。

■タロットは覚醒へと向かう補助ツールか?

さて見方、使い方を変えれば自由自在で、自分の味方にもなってくれるタロット。51コラボでは2022年10月31日(締切まで残りわずかです!)までの期間限定で「タロット、覚醒への旅」と題した90本もの映像を用意したオンライン配信コンテンツを用意しています。期間を過ぎてしまうとセットではなく、単体の販売となってしまいます。

この文章を読んで、面白いとピン!ときた方は、ぜひHPを見てくださいね。新たな思考の地平を切り開く宝物があるかもしれません。※『』部分、「ユリイカ タロットの世界」(青土社)から引用

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