あの世の光と生きることの意味

映画「ヒアアフター」(2010年)

■製作年:2010年
■監督:クリント・イーストウッド
■出演者:マット・デイモン、ジョージ・ロネガン、セシル・ドゥ・フランス、他

クリント・イーストウッド監督の映画「ヒアアフター」は、冒頭シーンに津波の映像があることによって公開直後に、丁度、東日本大震災が発生し上映が中止されました。日本が大きなダメージを負ったこともあり、いろいろなことが配慮された映画です。今回その「ヒアアフター」を見たのですが、確かに津波のシーンはリアルに描かれており、被災した人が見たら直視できないだろうなと思いました。映画は時にこうした自然災害をテーマにしたものを描くことがあるので、いたしたがないということになるのですが…。

しかし、この「ヒアアフター」は津波に関することは全体の構成から見れば全くの部分でしかなく、映画のテーマである「死」というものを考えさせるための、ひとつの手段、ひとつのビジュアル的な迫力を持った素材にすぎないのでした。

むしろ、この映画は死を通して生きることの素晴らしさを描いた映画であり、希望へとつながっていく道標を見せてエンディングを向かえるのでした。登場人物は、津波で臨死体験をしたフランスのニュースキャスター、アメリカのまやかしではない本物の霊感を感じることができる霊能者、双子の兄を不慮の事故でなくしたイギリスの少年、いずれも「死」というものにとらわれている。しかし、ラストのロマンチックな香りは、生きることの素晴らしさを描いているとしかいいようがないし、根底に優しさに溢れています。

映画のタイトルである「ヒアアフター」とは死後の世界のこと、死んだら我々はどうなるのか?ということです。私はクリント・イーストウッドと言えばダーティー・ハリーを演じたイメージが強く、彼がこのようなテーマの映画を作るとは全く意外でした。映画全体を覆っているのはスピリチャルな空気なのですから。

臨死体験、死者との交信、見えない世界が見える人、世の中にはこうした経験や能力を持った人がいる。ヒアアフターについて堂々と語ろうとすると、一方で怪しい(臨死体験をした女性ニュースキャスターが死後の世界について書こうとしたら、会社の上司が猛反対した )と思われる反面、一方では特殊な能力を持った人が表舞台とまでは言わないけれど、あるフィールドにおいて露出されている現象は、もしかしたらあまり日本と変わらないのではないかと。

人間という存在は、本来は見えない世界について感じとることができる能力を持っているということ。それは例えば、赤ちゃんが天井を見てニコニコしている様子や、子供が誰もいない場所をさして誰かいるのはというのは、霊的な存在をそこに見ているのだと。誰もがそうした薄く半透明な存在を幼児の時には見ているのだけれども、成長するにつれそうした能力の扉は段々と閉じられてしまい、やがて、それらを見ることができなくなるというのです。

しかし、中にはまれにその扉が完全に閉じない人がいて、そうした人が見えない世界について感じとることができるのだと。特にその部分が開いている人は女性に多く、私の知人にも数名そうした方がいます。

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