1本の映画を驚愕の視点で分析したドキュメンタリー
映画「ROOM237」(2012年)
■製作年:2012年
■監督:ロドニー・アッシャー
スタンリー・キューブリック監督の映画「シャイニング」を徹底解剖した「ROOM237」は、まず、思うことはよくここまで1本の映画を見たということ。これには驚きを隠せません。この「ROOM237」で語られることは果たしてキューブリックが意図したことなのか、否か。それはわかり様がないのですが、偶然の一致を含めて、作品を作ることの奥深さというのを感じせてくれるものでした。
舞台となったホテルが、冬の間無人化するとはいえ、惨劇が起きたのか?まずさりげない会話でこのホテルは先住民の墓の上に建てられたという会話でした。私もこのセリフには引っかかり、場所としてあまりよくないのだろう、そのじ地霊のようなものが、時に人の心を狂わせるのか?と思っていたのですが、それを深堀する「ROOM237」は、白人による先住民へのホロコーストを描いているのだと語っていました。うなずけるような、こじつけのような。確かにエレベーターから溢れる血の洪水は謎だったのですが。
それよりも、ビックリするのは、ルーム237とアポロ11号の関係性について。都市伝説で月面着陸の映像はスタンリー・キューブリックが作った偽造映像であるというのは聞いたことがあった。そもそも月面着陸などなかったのであり、嘘の映像を全世界の人たちは見せられたのだという陰謀論の話である。実際の真偽のほどはどうであれ、そうした話があるのです。詳しくはこの「ROOM237」を見てもらえればわかるが、そのルームキーに謎の鍵が隠されていて、1980年公開の「シャイニング」に1969年に飛んだアポロ11号の柄を編んだセーターを着ているダニー少年は、何か変だなと思ったのも、見た時の観想でした。
あるいは、映画のフィルムを逆再生させて、終わりからスタートさせる映像と通常の始まりの映像を重ねわせると、奇妙な部分が浮かび上がってくるということ。つまり頭からの尺と終わりからの尺を計算していたということになる。もしキューブリックが本当にそれをやっていたとしたら?それこそ驚きどころではない。
映画「シャイニング」の謎の数々を、ジャーナリストや小説家、歴史学者など各界のキューブリック研究家が独自の「シャイニング」論を展開しつつ検証したのが、このドキュメンタリー映画「ルーム237」。製作サイドからは認められていないようなのだが・・・。
少なくともこのようなことを考えたくなるだけの魅力を「シャイニング」持っているということだ。その点においても「シャイニング」は映画史に残る1本なのだと言えそうです。 ある意味でとても勉強になったし、刺激も受けたのがこの「ROOM237」でした。
ROOM237 DVD