日本の超人、空海の業績の一端を感じる

『空海ー密教のルーツとマンダラの世界』展 (奈良国立博物館)

空海は、日本の平安時代に活躍した真言密教の開祖。空海が残した業績は、その後の日本に多大な影響を与えました。奈良国立博物館で開催中の『空海ー密教のルーツとマンダラの世界』展 (2024年6月9日まで)これまでにない空海に関する展覧会とあったので、気になっていました。ちょうど関西へ行く用事があり、時間を作って空海展を観に行ったわけです。

この手の名のつく展覧会はわりと行ってるけど、この展覧会はよかったです。分かりやすく立体的で、なるほど空海さんは歴史上いたんだということも感じられましたし、東京国立博物館だと、実際、鑑賞者人が多すぎて、イヤになっちゃうけど、そこまでの混み具合ではなかった。

日本でキリストや釈迦のような超人的天才な歴史的人物で、パッと思いつくのが、空海と聖徳太子くらい。死後、1000年経っても、空海は高野山奥之院で生きていて、僧が食事を捧げているのは、まさに伝説化し今もそれが生きているという凄さ。

思うに、空海は、密教の教えを日本にもたらしただけでなく、非常に多岐にわたる分野で比類ない才能を発揮しましたことでも知られています。これほど多才な人物が一人であったのか、あるいは複数の人物の業績が空海という一つの人物に集約されたのではないかという疑問が、正直、生じてきます。

東寺、高野山にしろ一人の人物が開くには、規模がでかい。当時の仏教はどのような、立ち位置にあったのか?現代とは全く違った地位にあったのだろう。さしずめ空海は、現代でいえば巨大企業の総師にちかいと言えば、彼が残した業績の数々に納得がいくような気がする。松下幸之助はパナソニックを創業したけども、それが残したものはそこで働く社員の結集というようなイメージ。松下の場合は経営経済活動だが、空海の場合は、宗教であり哲学だから、個人に集約される印象を持つから、業績を考えると超人的に思えてしまう。

しかし、歴史学的には、空海は一人の実在の人物であり、その生涯と業績については空海展の展示資料を見るまでもなく、多くの史料が存在します。空海が生きた時代は現代と違い、メディアの状況が全く違うし、交通手段も違う。噂の広がり方が違うと言えます。今回、関西行は高校の同窓会に出るため、その三次会での話。私も当時高校生の時の時に、聞いた話で知っている、映画化にもなったとある愚連隊に駅のホームで、同窓生の知り合いが絡まれて巻き込まれたというエピソード。映画化にもなるくらいだから、その愚連隊自体、地元では超有名らしい、そこに同窓生が絡まれたという話は、一気に周辺の高校に広がったということが、三次会の飲み話でわかった。

ここに、人の噂話の伝搬の力というものを感じなくでもない。空海は、そうした噂話がとてつもなく凄かったんだろうと思います。その伝えた教え、決断、決定、判断などが、今でいえば野球の大谷くらいの感じと想像すればいいのか?メディアが伝える大谷選手の活躍は空前絶後だから…。

空海が一人の人物であったとする見方は主流の見解と思われるのすが、空海の多才さや多岐にわたる業績を考えると、複数の人物であったとしてもおかしくはない。その噂話はやがて神話化され、空海という一つの人物像に集約されたのは?という可能性も完全には否定できないなと思いつつ、奈良国立博物館の空海展を鑑賞したのでした。

Follow me!