時空も超えちゃった!冒険活劇の考古学者インディ
映画「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」 (2023年)
■製作年:2023年
■監督:ジェームズ・マンゴールド
■出演者:ハリソン・フォード、マッツ・ミケルセン、ジョン・リス=デイヴィス、フィービー・ウォーラー・ブリッジ、他
スティーブン・スピルバーグとジョージ・ルーカスが、後に語られることになるような名作映画を次々と出し、どれも大ヒットしハリウッドを席巻した彼らの全盛期、その二人がタッグを組み大冒険活劇を作ったのが「レイダーズ/失われたアーク《聖櫃》」。ジョン・ウィリアムスの音楽と共に活躍するハリソン・フォード演じるインディ・ジョーンズは、メチャクチャカッコよかった。フェドーラ帽とレザージャケットにムチのスタイルで、考古学的遺物を探し、同じくそれらを政治的に利用しようとするナチス一党との争奪戦と、アクション。映画史にはジェームス・ボンドはじめさまざまなスーパーヒーローがいるけど、人間味豊かで愛嬌もあり、弱点もあるというのはインディ・ジョーンズかなと思います。
そのインディ・ジョーンズの役柄を、40年に渡り演じ、これが最後だろうという「インディ・ジョーンズと運命のダイヤル」。冒頭はCG、AIの技術で若返ったインディの驚きのアクション映像を見ることができます。この映像がそうした技術的処理がなされていることを一切感じさせないのがすごいなと思うのです。
また今回の監督はスティーブン・スピルバーグではなくジェームス・マンゴールド、この歴史的作品を引き継いで演出するのは大変だろうなと思うのですが、見ていて思ったのは、どことなく「レイダーズ」の感じに似ているなということ。監督はスピルバーグの演出を研究したのかなと連想しました。(どこかのインタビューで読んだのが監督は若い時に8ミリカメラでスピルバーグの映像カット割りを撮影して自分のものにしたという趣旨を読んだ)
ヒロインとの掛け合いもよく、老いたインディも味わい深い。アルキメデスのアンティキラというオーパーツがキーとなり、時間がポイントとなる。遺物の隠された秘密を探るという、これまでの楽しみは、ありますが、個人的には時空を越えて遥かな過去にまでタイムスリップしてしまう展開はいきすぎで、どうなのかな?と思いました。
謎の古代の遺物オーパーツに超常的パワーがあり、一体どんな力があるのだ?という謎解きまではいいのですが、インディの映画を終わらせるには、そうした大胆な展開もしょうがないのかな、と思いつつ、時空を越えてしまうと大冒険活劇からSF映画になってしまうなーとちょっとだけ、スクリーンを見ながら、突っ込みたくなりました。
思えば インディ・ジョーンズの第一作である「レイダーズ/失われたアーク《聖櫃》」 が、日本で公開された1981年は私も20歳でした。その年には、スコセッシの「レイジング・ブル」、カサベテスの「グロリア」、リンチの「エレファント・マン」、ジョン・ベルーシの「ブルース・ブラザーズ」といった映画が公開された年。どれも私のお気に入りの一本ばかりで、無意識の中に感性的な影響を受けていると思います。その中でもインディ・ジョーンズの映画は燦然と輝いているのです。今でも映画館で感じたワクワク感は私の記憶に残っています。