キング・オブ・ロックンロールを描いた映像紙芝居!

映画「エルビス」(2022年)

■製作年:2022年
■監督:バズ・ラーマン
■出演:オースティン・バトラー、トム・ハンクス、ヘレン・トムソン、他

一世を風靡し歴史にその名を刻んだエルビス・プレスリー。私はリアルタイムでプレスリーを体感した世代ではないのですが、アメリカ文化が世界を席巻した神話上の人物のような存在として「監獄ロック」などの音楽とともに存在しています。マリリン・モンローやジェームス・ディーンらと同じような存在です。

そのエルビス・プレスリーを知ったのは多感な十代の頃、私はビートルズよりプレスリーの方にひかれました。確かカート・ラッセルがプレスリーを演じた映画があり、それを見に行った記憶があります。プレスリーはなんともいえぬ色気があったんですね。今となればビートルズの才能がすごいと思うのですが。

今なぜプレスリーなのか?というのはよくわかりませんが、まるで紙芝居のように作られたこの映画「エルビス」は、想像上の、あるいは、忘却の中のエルビス・プレスリーとしては、ピッタリな感じがしました。もはや伝説的な、神話的な人物になっているプレスリーなので、エンターテイメント調の紙芝居的映像は、その空気感を伝えるにふさわしいのかもしれません。

監督のバズ・ラーマンは、過去の華やかな出来事を夢のような贅沢な映像空間に仕上げるということに、「ムーラン・ルージュ」しかり「華麗なるギャッビー」しかり、天才的な力量があるなと思います。とにかく映像が華やかで贅沢なのです。 夢と幻想、渦巻く疑念と策略に嫉妬、欲に彩られた虚飾の空間。

そうした世界の住人、この映画では、プレスリーの影で暗躍したトム・ハンクス演じるマネージャーが、いかにもという出自不明の男をいい味出して演じていました。

プレスリーを演じたオースティン・バトラーも、相当なプレッシャーがあったんじゃないかなと。やっぱりファンも多いと思うので。ファンの熱狂の渦の中でエンターテイメントの世界で溺れ犠牲となっていく一人の天才シンガーを見事に演じていたと思いました。

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