70年前、当時インパクトある女性だったろうな「不良少女モニカ」

映画「不良少女モニカ」(1953年)

■監督:イングマール・ベルイマン
■出演:ハリエット・アンデルセン、ラルス・エクボルイ、ジョン・ハリソン、他

とにかく主人公のモニカという女性が強烈な印象を残す映画。不良少女なんて言葉今では死語だけど、1953年の映画なので、私の生まれる前の作品。時代を考えると、公開当時は相当なインパクトを与えたんじゃないのかなあと想像させてくれる女性像を描いた作品です。それにより、この作品が映画史の中で語り継がれるのもわかるような気がします。

その映画の内容ですが、仕事に家庭に不満を持っている貧しい階級の若い男女が出会い愛し合うことから始まります。二人は自由を求めボードに乗って家を出て、そこを寝ぐらに二人だけの気ままで甘い時間を過ごします。それは何にも制約されない自由で希望に満ちた二人にとっては愛しか感じない時間です。しかし、現実は確実にやってきて、女は妊娠し、食糧も尽きてしまい盗みまで働くようになりますが、結局楽園は一時的なもの、現実の生活へと戻らざる得ないようになります。

二人は結婚するものの、生活をするということは様々な現実の中で我慢を必要とすることで、夫は真面目に働くものの、本来そうした生活が生に合わないモニカは我慢なりません。夫の留守に男を連れ込んだり、子育てもまともにしないありさまです。やがて二人の中には大きな溝ができる、一方が子供を捨てて家を出ていってしまいます。

ここで出ていくのが、夫ではなく、母親であるモニカであるということが、型どうりでない感じがします。赤ん坊を抱いたショットで映画は終わるのですが、それが母親としてのモニカではなく夫であるということ。そこの場面は彼女の存在を十分に感じさせる終わり方でした。

モニカという女性のひとつひとつの仕種がとても自然体に見えたり、時には、やり過ぎに見えたりとその演技が印象深く、イメージは鮮烈です。モニカは始終タバコをすっている、いつもいらついている、男顔負けの、がさつで無頼な行動、女性としての恥じらいといったものは見られず、しかし、時折見せる天真爛漫な無垢な表情と可愛らしさ…。

この二重性を見せながら、映画はモニカに始まりモニカに終わるといっても過言ではありません。モニカという女性は強烈な存在感を醸し出している。映画そのものがモニカの一挙手一投足に動かされてるようでもあります。自らの境遇を呪い反発しながらも、結局は刹那的、享楽的であり我が儘を通し、自分の享楽を優先し子供さえも捨ててしまうそのあっけらかんとした彼女。

若い二人の愛は結局はひと夏の経験で終わってしまいます。モニカは健康美な肉体的なエロティシズムを放っています。つまりは、ひと夏の経験は心の交流ではなく肉体の交流であった…、そう見えなくもない終局への展開は、夏の自由なひとときが輝いて描かれれば描かれるほど、あとから、いったい人生とは?と重くのしかかってくる。

ところでこのモニカを演じたハリエット・アンデルセンは、以後、ベルイマンの映画の常連になって重要な役を演じるようになるそうです。

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