ヒルコ、それは封印された黄泉の国の入り口にいるのか?

映画「ヒルコ 妖怪ハンター」(1991年)

■製作年:1991年
■監督:塚本晋也
■出演:沢田研二、工藤正貴、上野めぐみ、他

90年代初頭、諸星大二郎による漫画「妖怪ハンター」が話題になり、それを原作に、映画「鉄男」が強烈なインパクトを残した塚本晋也監督。この両者によるのが映画「ヒルコ」。このヒルコ、古事記の中でイザナギとイザナミが最初に生んだ子にもかかわらず、不具ゆえに葦船に入れて流されてしまった神であるとされます。

ちょうどこの映画が公開されたころ、ユング心理学者の河合隼雄氏は、このヒルコについて、自説である中空構造となっている日本の文化(真ん中が無であること)について、ヒルコを例に出して説明している講演番組を見たことにより、ヒルコという名前が私に刻まれることになりました。それは天皇制のあり方にも通じるものだという話だったと記憶しています。

ただ、諸星の漫画も塚本の映画も、そうしたものではなく、古事記から題材にとってきているものの、別解釈により封印された妖怪として描かれています。それは異様な姿をした妖怪で、古墳の奥に閉じ込められたという、別の意味でスリリングな設定です。

諸星大二郎の原作「妖怪ハンター」

ちなみに主人公である異端の考古学者・稗田礼二郎は漫画ではクールな存在に描かれていますが、映画では沢田研二が演じおっちょこちょいなキャラクターとして演じています。

今から30年以上前の作品、当然、SFXの技術は現在とはくらべものにならない。ミニチュアや人形を使って工夫しているのが印象的です。

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