不毛な恋愛で身も心も滅ぼしてしまう「夏の嵐」
映画「夏の嵐」(1954年)
■製作年:1954年
■監督:ルキノ・ヴィスコンティ
■出演:アリダ・ヴァッリ、ファーリー・グレンジャー、他
ルキノ・ヴィスコンティ監督の映画「夏の嵐」、この映画は1954年に製作されたというから、私が生まれる7年前ということになります。それを考えるとこの重厚な出来に驚きを感じます。
貴族の話なので、街や屋敷、そして部屋といった背景が、当然CGがない時代。簡単にはできないリアルなロケーション。とても贅沢。舞台はオーストリアに占領されたイタリアのレジスタンスを描く。描くといってもレジスタンスそのものではなく恋愛です。
イタリア貴族の婦人が、敵対するオーストリアの兵士に恋をしてしまい、いけないとわかっていてもどんどん深みにはまってしまう。人はダメだと障壁があるといっそう燃え上がる生き物?
しかし、オーストリアの若い兵士はどうみても女性を騙しているようにみえる。なんだかんだと言って彼は兵役を逃れたいことと、女性から金を巻き上げて楽して生活をしたいという思惑がある。一方の貴族の女性は恋に溺れてしまい不倫ながらも自制ができず、ついにはお金を渡してしまう。
こうなると結果は見えてくる。しかし、戦時下においても貴族の生活は、庶民と比べて圧倒的に違う、その格差に驚くばかり。