古い映画だけどアリスを演じた女の子が、すごくいい味だしている
映画「都会のアリス」(1974年)
■製作年:1974年
■監督:ヴィム・ヴェンダース
■出演:リュディガー・フォグラー、イエラ・ロットレンダー、他
ヴィム・ヴェンダースの「都会のアリス」は期待していた以上にいい映画だった。イエラ・ロットレンダー演じるアリスの演技が、憎々しいことを時々言うのだけど、あまりにも自然な感じがして彼女の演技に引き込まれてしまいました。
ストーリーはこれと言って大きな変化はない。作家のフィリップは、旅行記を書くためアメリカを旅しており、ドイツに帰国することになるも、空港で足止めをくらっでしまう。そこでドイツへ帰国しようとしていた女性と小さな娘アリスに会うのだけれど、母親は一方的にアリスを託し行方をくらませてしまう。
仕方なくアリスを連れてアムステルダムへ飛び、アリスの記憶を頼りに彼女の祖母の家を探すことになる。その旅の道中を描いた映画。同じような映画でピーター・ボグダノヴィッチ「ペーパー・ムーン」という映画があり、ヴェンダースロケハン中にその映画を見て撮影を断念しかけたというエピソードがあるようですが、その「ペーパー・ムーン」、私は学生時代に見たことがあるのですが、どんな映画だったのかもすっかり忘れいます。なので私にとっては、この「都会のアリス」がいい映画となります。
愛らしい女の子なのに小生意気なことをいう。母親に見捨てられ、アリスとしてはフィリップに頼らざるえないわけですが、関係性が平等に描かれている。フィリップとしても母親探しをどこまでも付き合う義務はない。この飛行機にのっているだろうとずっと空港で母親を待っているも、そこに乗っておらず、アリスはトイレに入りシクシク泣く。けれどそんなことがなかったかのように、再びアリスは小生意気なことをいう女の子に戻る・・・。
映画として何か劇的なことがあるわけではない、カタルシスもない、ただ淡々と女の子のアリスとドイツ青年のフィリップの旅を描く。その場面のひとつひとつが、愛らしくもいい感じなのでした。