破天荒な芸人レニー・ブルースをあのボブ・フォッシーが映画に・・・
映画「レニー・ブルース」(1974年)
■製作年:1974年
■監督:ボブ・フォッシー
■出演:ダスティ・ホフマン、 ヴァレリー・ペリン、他
レニー・ブルースは、実在の人物でユダヤ系アメリカ人のコメディアン。ダスティ・ホフマンが見事な演技で一気に見せてくれる。彼が演じたレニー・ブルースは、タブーとされていた政治、宗教、人種差別や性に関することを赤裸々にそして放送禁止用語などお構いなしにアメリカ社会の抱える矛盾を毒舌トークで人気を博した。
今では問題なく使われているような、しかし、当時は過激な言葉と見なされた芸風は当局に目をつけられ公然猥褻を理由に度々逮捕され、有罪判決を受ける。その裁判で弁護士を排除し、自らの芸を法廷でやるから判断してくれと懇願するも却下される。
ドラッグの中毒になり、ろれつも思考もままならないまま舞台に立つレニー・ブルースを突き放した視線で見つめるボブ・フォッシーの演出。それに答えるかのようなダスティ・ホフマンの執念の演技は一つの見所だろう。
自宅の風呂場で裸のまま倒れて死んだレニー・ブルース。調べると急性モルヒネ中毒のようで、注射バリが腕に突き刺さったままだったという。
同じショービジネスの世界で時代の寵児となり数々の名作を残したボブ・フォッシー。彼が作る映画、「スウィート・チャリティー」「キャバレー」「オール・ザット・ジャズ」どれも雰囲気や演出が違うので、逆にその才能に驚かれます。この「レニー・ブルース」は小気味よいテンポに、時代が交錯し、さらには元妻などのインタビュー映像(本物ではなく俳優の演技)が絡みドキュメンタリータッチの快作なのでした。
レニー・ブルースの生きざまもすごいが、ボブ・フォッシーの才能も十分感じることができた映画といえます。