この世はなんでもありサ、オール・ザット・ジャズ!

映画「オール・ザット・ジャズ」(1979年)

■製作年:1979年
■監督:ボブ・フォッシー
■出演:ロイ・シャイダー、ジェシカ・ラング、他

映画「オール・ザット・ジャズ」は、ボブ・フォッシー版の「8 1/2」だ。「8 2/1」とはイタリアの巨匠フェデリコ・フェリーニの映画史に残る名作で、創作に苦しむ映画監督を幻想的表現を交えて映画いた自伝的とも言える作品。ここでボブ・フォッシーは、映画監督ではなく自身と被る舞台振付家を主人公として、その苦悩や破天荒さをまるで「8 1/2」をなぞるそうに描いていきます。

ちょうどこの映画が公開された時、私は映画館で見ており、若い自分にとってはややむつかしい部分もあるなと感じつつも、煌びやかな映像、エキゾチックなダンス、破天荒な主人公などに魅せられた記憶があります。カンヌ映画祭で賞をとった作品であり、さすがにレベルが高いなとそんな風に感じたのでした。

今回、あらためて再見すると、いろいろな意味で含みがある味わい深い映画だと思いました。主人公が彼の品行はさておき、蝕まれている体をはね返すかのように「イッツ、ショータイム!」と朝の目覚めのシャワーの後、いくつもの薬を飲み、鏡に向かって彼流の気合?を入れる一コマ。今日も一日が始まる。その場面だけ見ても、まだ社会の厳しさをしらない学生には、なんとなくわかっても、その場面の重みのようなものは真に迫るようにはわからなかっただろう。ましてやショーの世界であり、明日の身分さえその出来でどうなっていくのか、左右されるプレッシャーがあるわけだから。

常に煙草をくわえている、ドラッグの常用者、そして女性が大好き、そして振付の才能に恵まれている・・・お決まりのといえばお決まりのパターンと言えます。自分が病気になり死の淵をさ迷うのも自業自得?そして最後は人生の幕引きを、日本で言えば走馬灯のように最高のダンスで自身の人生を振り返る。彼のそばにはミューズとしての、内なる女性(ジェシカ・ラングが演じた)、アニマが寄り添う。

前半はあまり面白くないものの、後半になってくると私的には俄然面白くなってきました。そして、ボブ・フォッシーにこんな映画を作らせるインパクトを与えたフェデリコ・フェリーニの偉大さを感じるのでした。そして後年、そのボブ・フォッシーに心酔するロブ・マーシャルが、フェリーニの「8 1/2」を模したミュージカル映画「NINE」を作ることになる。フェデリコ・フェリーニ⇒ボブ・フォッシー⇒ロブ・マーシャルと流れていくのが素敵だなと思います。

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