地球のすごさとカメラマンのパワーを感じる超絶「天地創造」写真展

白川義員写真展「天地創造」 (東京都写真美術館)

白川義員氏と言えば日本を代表する写真家です。じっくりとその写真を見ることはなかったのですが、タイトルに惹かれ白川義員写真展「天地創造」(5月9日まで)を見に行きました。いや~、どの写真もすごかった。まさに天地創造の世界がそこにありました。

まず容易にいくことができない場所ばかりのまさに辺境の地を撮影していること、そして空撮により神の視点とでもいうべき俯瞰した撮影。陽がさした一瞬の大自然が見せる奇跡の光景をカメラに捉える。ヒマラヤ、南極、北米、南米、中国などのすごい場所ばかり、写真に見入ってしまいました。

カタログを読んでいるとその白川氏、命をかけた壮絶なカメラマン人生が見えてきました。ここまですごい魂を持った人だったんだと、初めてその撮影姿勢を知ったのです。何度もかかった高山病。豪雪に閉じ込められ7日絶食後に雪行軍のために体重が63キロから24キロも瘦せてしまい、あげくに肺結核で左肺摘出。白川氏は空撮をすることが多く、悪天候で飛行機が落下し、氏が坐っていた椅子がはずれ天井に激突し上下左右に飛ばされ機内は血だらけに、病院に運ばれると頸椎がバラバラになっていて、急きょ日本に搬送され手術を受けたそうだ。

そうした壮絶な経験を経て、神秘的な体験も加わり、白川氏は「神」の存在を確信するようになったといいます。

撮影の苦労5%、準備の苦労95%と氏の文章には書かれているのですが、過酷な撮影でのアクシデントもふくめたのが5%で、それまでの準備が大変と、氏は世界的視点からみた場合、日本の常識は世界の非常識なことがとても多い。特に、役人批判も多々出てきます。ある意味、言いたい放題で。白川氏ほどの世界的なカメラマンが、堂々と日本の対応の悪さを発言するのは、なかなか痛快です。

写真という二次元から、白川氏のパワー、写真のパワー、地球のパワーを感じることができた立体的な写真展でした。

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