私は見る人、感じる人・・・、独特の空気感を持つ映画

映画「天国にちがいない」(2019年)

■製作年:2019年
■監督:エリア・スレイマン
■出演:エリア・スレイマン、ガエル・ガルシア・ベルナル、他

エリア・スレイマン監督の映画「天国にちがいない」は不思議な感覚の作品です。喜劇的な要素が盛り込まれた映像詩、ストーリーはなく傍観者としての監督自身が映し出されます。

カンヌで高い評価を得たのも頷ける、もはやアートと言ってもいい境地の映画でした。

監督はイスラエル国籍のパレスチナ人。イエス・キリストが生まれたナザレ出身のパレスチナ人で、そのアイデンティティは複雑です。

映画を見ていると、イスラエルとパレスチナの紛争により、かの地は不安定ですが、舞台として描いたパリもニューヨークも充分不安定な印象を与えます。その都市には暴力が内在しているような。

とにかく一つ一つのエピソードの切り口が素晴らしいし、同時に映像が美しい。ただ風景に人物を立たせただけの映像なのに、心に響いてきます。

それは監督のユーモアというか、皮肉というのか、そうした感性が訴えかけてくると同時に、撮影技術が高いのでしょう。こんな美しい映像はなかなか見ることができないと思うのでした。

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