拳一つでのし上がった世界チャンピオンの壮絶闘病記

『見落とされた癌』竹原慎二(双葉社)

竹原慎二さんという元ボクシングの世界チャンピオンだった方がいます。実力ひしめく過酷な階級といわれるミドル級で世界を取ったので、実力はピカ一だったと思います。と書くものの、私は竹原選手の現役時代をしりませんでした。

むしろ昔、TVで「ガチンコ」という番組があり、そこに出ていたのが竹原さんで、腕に覚えがあるワルたちを、広島弁で威嚇するキャラクターが面白くてその存在をしったのでした。

その竹原さんが、癌で大変な思いをしたということを新聞のインタビュー記事で知りました。TVであの威勢のいい姿を見せていた竹原さんが、泣いて過ごしたということが、書かれてありました。

ボクシングといえば拳一つで、成り上がっていく強い男の代名詞ではないですか、ましてや世界チャンピオンなんて強靭な精神力がなければなれないでしょう。それが癌になり泣いて過ごした。あの「ガチンコ」のイメージがあったので、その記事に引き込まれてしまいまいました。

「見落とされた癌」は、その竹原さんの闘病記です。その切実な想い、苦悩、不安が生々しく伝わり、一気に読めるものでした。命というものに大きく関わる癌。ましてや余命がと告知されたら、その心境たるや、私には想像ができません。

世界を制した一人の屈強な男の、人間らしい内面を見たような気がしました。

そして、素晴らしいのが奥様のサポート。治療の過程をノートに細かくまとめていたこと。二人三脚で闘病したのがよく伝わってきましたし、後日、それも本にもなりました。

たとえ癌ではなくとも、存在を揺るがすような困難にあたった時、どのように向かっていけばいいのか?参考になる本だなと思いました。


竹原さんの経営するボクシングジムにて

※実はこの本を読んだ後、後日談があります。それは竹原さんのこの本を読み感動した私は、同じく癌でプロレスを引退した絶対王者と呼ばれた小橋建太さんと、癌を克服した異種格闘技対談のイベントをしたらどうだろうか?そんなことを考えたのです。あるルートを使い、なんと、その企画が2019年5月に実現しました。我ながらびっくり企画でした。竹原さん、けっこう楽屋ではシャイでしたが、演台に立つと乗りに乗って癌の話もそこそこに、ワルだった広島時代で時間いっぱいとなったのでした。

竹原さんと小橋さん、元格闘技のチャンピオン並び立つ

※すでに終了している竹原慎二さんんと小橋建太さんのトークショー(2019年5月終了)

見落とされた癌 夫・竹原慎二のがんを消したカラダにいい食べ物と習慣43

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