「森山大道の東京 ongoing」写真展・・・猥雑な街への遠近法がそこにあった
路地裏を歩き続け刺激的な写真を撮り続けている日本を代表するカメラマン森山大道は、1938年生まれなので、今年82歳ということになります。東京都写真美術館で開催されている、その「森山大道の東京 ongoing」展を見てきた。
森山大道はひたすら街のスナップショットを撮り続けている世界でも稀有なカメラマン。ongoingとは進行中、進化し続けるという意味であり、老いてなお衰えず、街を徘徊する強者と言えます。
展示されている写真の数々は、とてもその年齢の人が撮ったとは思えないほどパワーに溢れていました。街に集まる人、住まう人、働く人。今栄える場所、かつて栄えた場所。欲望が形となった、つまり、人が作った場所。街の喧騒、雑音が写真から聞こえてくる。生きているということのエネルギー。
強烈な構図は猥雑な街への街遠近法だ。
森山大道の写真を知ったのは、私が好きな昭和のマルチクリエイター寺山修司の小説「あゝ荒野荒野」をテーマとした写真から。ピンとも合わずぶれまくり、アンダーグラウンドや情念を吹き出す人達の作品を見たときに、骨太なカメラマンもいるんだと思ったことから。以来、森山大道の名前は私の頭に刻み込まれることになったのです。