時間軸と現実と記憶が交錯するウィルス拡散後の近未来SF映画の傑作

映画「12モンキーズ」(1995年)

■製作年:1995年
■監督:テリー・ギリアム
■出演:ブルース・ウィルス、ブラッド・ピット、マデリーン、ストー、他

奇才テリー・ギリアム監督の「12モンキーズ」、期待以上に面白かったです。ウィルスにより人類絶滅の危機にさらされている近未来2035年、この時代の人類は地下に住むことが余儀なくされている。支配者層は犯罪者に対し、特赦を認めるためにタイムマシンで、そのウィルスが拡散される原因となったとされる1996年に飛ばそうとします。

この犯罪者ジェームスをブルース・ウィルスが演じています。しかし、彼は誤って1990年に送られてしまい、逮捕され精神病院に収容されてしまいます。そこで出会うのがブラッド・ピット演じるジェフリー。のちに12モンキーズを組織することになります。12モンキーズは、未来においてウィルス拡散を図った組織とされているのです。このブラピの演技がこれまで見たことのないような怪演を見せます。

映画を見ていくと、時間軸が、未来・現在(ここでは主人公のジェームスが過去に戻った時間とする)・過去とループしその関係性がやや入り組んでおり、さらに現在進行形で行われている事件と過去の記憶、さらにそれらを飛び越えた未来の軸というのが交錯し、見ている側は少し混乱をしてくるわけなのですが・・・。

結果として、12モンキーズとはただの動物愛護団体であり、ウィルスを拡散したのは別の人物ということがわかってきます。となると、ジェームスが記憶、夢で見ていた空港での銃撃事件との流れが変わってくることになること、さらに銃撃されたのは実は夢見ている本人だったとなるとさらに関係性がややこしくなります。

このような部分は、論理的に見ていくと追及したくなる部分ですが、そこはエンターテイメントとして思わせぶりの方が、むしろ余韻として謎がのこりいいように思います。しかし、こうしたややこしさは別として、なかなかスリリングで見ごたえある展開で、画面に食い入ってしまうのです。近未来の機器類もアナログ的なものが多用されておりSF的な世界観として大いに想像力をかきたてられます。

ウィルス拡散後の近未来の映画ということで、身につまされる部分も多くあるのですが・・・、こうはならないと人類を信じつつ。テリー・ギリアム監督の傑作の一つですね。

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