見えてしまう能力ゆえに「デッド・ゾーン」

映画「デッドゾーン」(1983年)

■監督:デヴィッド・クーネンバーグ
■主演:クリストファー・ウォーケン、ブルック・アダムス、マーティン・シーン、他

デヴィッド・クローネンバーグ監督の『デッドゾーン』は、スティーヴン・キングの小説を映画化したものですが、キングの小説を映画化した作品の中で上位の評価を得ている作品と言われています。クローネンバーグの代名詞であるボディ・ホラー、肉体的な変容やグロテスクな映像よりも、心理的的な葛藤に焦点を当てた演出が特徴です。

物語の主人公は、クリストファー・ウォーケン演じる平凡な高校教師は、ある日、婚約者とのデートからの帰り、自動車事故に遭い、5年間の昏睡状態に陥ってしまう。しかし、長い眠りから目覚めると、婚約者は別の人と結婚をしており、さらに人に触れると、その人物の過去や未来が見えるという予知能力がついてしまいます。この力は、警察の捜査を助けたり、子供の命を救ったりと役立つ一方で、肉体と精神を蝕み、彼を婚約者を失った失意とともに孤独へと追い込みます。

主人公の予知には見えない部分=空白があり、そこはまだ未来が確定していない領域であり、彼の行動次第で未来は変えられるのです。

主人公は、将来、アメリカを核戦争に導く政治家の姿を予知してしまいます。この未来を回避するためには、彼は、自分の能力を意味ある行為へと昇華させるため、命を懸けた行動に出ます。予知で世界の不幸を阻止するも、第三者が見たら暗殺者です。彼の狙いは阻止できたものの、彼のことを理解する人は、果たしてどのくらいいるのか?ラストで彼は愛する元婚約者に抱きしめられ、運命の重荷から解放されます。

クリストファー・ウォーケンはこうした役柄にぴったりの役者ですね。映画は「ビデオ・ドローム」と「ザ・フライ」の間に作られた作品。、肉体的な変容やグロテスクな表現は見られないので「らしくない」と見えるのですが、精神の変容というものにスポットが当たっており、それがどのように影響するかという側面を表現しており、別の見方をすればクローネンバーグらしいとも思えてくるのでした。

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