シュールでシニカルな映画「ジャバーウォッキー」

映画「ジャバーウォッキー」(1977年)

■製作年:1977年
■監督:テリー・ギリアム
■出演:マイケル・ペイリン、マックス・ウォール、テリー・ジョーンズ、デボラ・ファレンダー、他

あの「未来世紀ブラジル」を生み出した鬼才テリー・ギリアムが、1977年に手がけた監督デビュー作で、ルイス・キャロルの「鏡の国のアリス」に登場する怪物ジャバーウォッキーを中世ヨーロッパに登場させた映画。この作品は1980年代に小規模公開されVHS化されたもののDVDにはならず伝説的な映画ということ。映画はテリー・ギリアムだからある程度のブラックコメディは、予想していましたが、ここまでやるか!って感じで、なんと表現したらいいのだろうか、笑いを通り越している印象さえ持ちました。

見る側に媚びることなく、延々と続くシュールでシニカルな世界は、不謹慎で悪趣味でさえある。たとえば職人ギルドから締め出された有名なかご職人、物乞いをするしかなく憐れみをさそうために自分の足を切り落としている。2回目に登場するときには残ったもう1本の足まで切り落としているも、そこに悲惨さはなく明るいのだ。あるいは、ジャバーウォッキー退治のための騎士の代表を決めるべく誰が一番強いのかを次から次へと決闘させる。決闘は負けたほうは死しかない。それを王と王女が観覧席から見ているのだが、負けた騎士の血しぶきを浴びるという映像で表現。その血しぶきがこれでもかと飛んでくるのです。

正直、見ていて笑えて楽しいというものではない。それを通り越している感があるから。そこに唯一無二の映画監督であるテリー・ギリアムの様々な要素が詰まっているのかなと、思ったのでした。

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