ペネロペ・クルスの演技が光った「パラレル・マザース」

映画「パラレル・マザーズ」(2021年)

女優ペネロペ・クルスとスペインの巨匠ペドロ・アルモドバル監督による「パラレル・マザーズ」。この映画が、先日発表されたキネマ旬報2022年度外国映画ベストテンの3位に、ペドロ・アルモドバルが外国映画監督賞に選ばれたこともあり、興味がわいて近くで上映されていたので観に行きました。

赤ん坊の取り違えにより二人のシングルマザーとなる女性の葛藤を描いた映画で、とくにペネロス・クルスの熱演が印象的でした。話の展開は早くトントンと進んで行きます。そのテンポの良さやエピソードが有機的に結合していく感じは、どこか私は増村保造監督に似ているなと思ったり。この映画、突っ込めばいろいろありそうですが、それをクリアしてしまうくらい明快な描き方なんです。ただ、話自体は悲劇的かつ複雑なのですが。

ただ、根底にあるのはスペインの歴史を知らないと作品の奥深さはわからない部分がるということ。なぜ、この映画にスペイン内戦のことが絡んでくるのか、よくはわからりませんでしたが、鑑賞後パンフレットなど見て、もしかしたらパラレルとは?ということがなんとなく見えてきたような・・・。

映画では母親、家族といった根源的なものをスペインの内戦で突然、葬られた、闇の大虐殺の歴史に焦点をあて関係性を持たせています。当時殺されたのは20万人とも言われている負の歴史。パラレルというキーワードを導入しながら、過去と現在の、母親とは?家族とは?過去の問題とは?という問題を今の問題と重ねていったのかなと想像してみたり。もしそうだとしたらペドロ・アルモドバル の作家性があるんだろうなと思いました。

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