女性総合格闘技家が演じる強い女のスパイ映画
映画「エージェント・マロリー」 (2011年)
■製作年:2011年
■監督:スティーヴン・ソーダーバーグ
■出演:ジーナ・カラーノ、マイケル・ファスビンター、ユアン・マクレガー、アントニオ・バンデラス、他
強すぎる女!
スティーヴン・ソダーバーグ監督によるアクション映画「エージェント・マロリー」を見ました。主人公は罠にはめられ復讐する女スパイ・マロリー、その役を演じているのがジーナ・カラーノという総合格闘技のスター選手というから驚きです。確かにアクション映画を演じるにはもともと身体能力に優れ、格闘経験もある選手が演じるのは適していると言えば適しているのです。同じようにソダーバーグ監督は「ガールフレンド・エクスペリエンス」でポルノ女優を起用し、高級コールガールの世界を描きました。専門性の強い人物を主役に起用するというスタイルは、映像にリアル感を与えるには理にかなっていると。
この映画は主役が訓練された格闘のプロのそれもトップスター選手なわけですから、アクション映画とはいえスタントなし、CGなしのまさに生身の体で勝負するというスタイルで撮影されたそうです。ですから、アクションに見られがちな特殊な撮影技術と合成による超人的な動きにこれありえるの?というド派手なシーンは正直ありません。彼女の体当たり演技によって、逆に生身の力強さというものが、体に浸みついたものが滲み出る凄さというものを感じることができます。
そして、相手を倒す時の技も、総合格闘技出身らしく腕ひしぎ逆十字とか三角締めなどMMAでお馴染みの技でしとめるのは痛快。そのジーナ・カラーノは如何に相手にダメージを与えて倒すかをリングで実践してきた人なので、映画の撮影では如何に相手を殴らずに、らしくみせるかを特訓したというから面白いですね。とにかく生身の肉体、身体能力を生かしきった映像ではあるのですが、同じくプロのスパイ(男性)に殴られ顔が腫れないというのはどこか不自然な感じもしないではなかったのですが。
そのジーナ・カラーノですが、監督がスティーヴン・ソーダーバーグ、そして彼女を巡る役をマイケル・ダグラス、アントニオ・バンデラス、ユアン・マクレガー、マイケル・ファスベンダー、チャニング・テイタムなどそうそうたる俳優陣による幸運なデビュー、その後も独特のスタンスで活躍していたのですが、昨今はSNS上で陰謀論的な発言を繰り返し、逆に批判で炎上してしまい干されてしまったようですね。